菅義偉首相は「党首討論の活性化」を実現できるか

報道によれば、自民党の森下裕国会対策委員長と立憲民主党の安住淳国会対策委員長が会談し、今国会での党首討論の実現に向けて大筋で合意したとのことです[1]。

前回の党首討論が行われたのは2019年6月19日のため、実現すれば菅義偉首相にとっては初めての党首討論となります。

菅首相は国会での答弁が質問に答えていない、あるいは同じ答弁を繰り返しているなど、問題視されました[2]。

また、今年4月に行われた日米首脳会談では、東京オリンピック・パラリンピックに関する質問について、「バイデン大統領への質問のみと認識してしまい、結果として回答漏れがあったことは事実」と述べるなど[3]、菅首相は状況に即した柔軟な対応を必ずしも得意としないことが推察されます。

それだけに、党首討論が開催される際には、菅首相には質問の趣旨を踏まえた正確な答弁が期待されます。

それとともに、もし質問の内容にそぐわない回答や答弁に遺漏などがあれば、すでに形式化している観を否めない党首討論のさらなる不活性化を招きかねません。

従って、菅首相には内閣総理大臣と野党の党首が国家の基本政策に関して幅広く議論するという党首討論の本旨に基づき、誠実で活発な議論を行うことが期待されるのです。

[1]今国会で党首討論検討. 日本経済新聞, 2021年5月26日夕刊3面.
[2]首相 五輪改めて意欲. 毎日新聞, 2021年5月11日朝刊2面.
[3]五輪質問答えず. 毎日新聞, 2021年4月21日朝刊5面.

<Executive Summary>
Will Prime Minister Yoshihide Suga Be Able to Revitalise Debate of Party Heads? (Yusuke Suzumura)

It is reported that Debate of Party Heads will be hold in this June on 26th May 2021. It might be an important opportunity for Prime Minister Yoshihide Suga to revitalise the debate which seems a kind of useless event in the Diet.

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