「東日本大震災の発生から10年」に際しての所感

本日、2011年3月11日(金)の14時46分に東北地方太平洋沖地震が発生し、その後の様々な被害を含む東日本大震災が起きてから10年が経ちました。

現在も多くの方が避難生活を余儀なくされ、物質面の復興には一定の目途が立ったものの、精神的な側面については従来の生活に復帰することの是非も含め、依然として道のりは遠いものです。

また、10年という期間についても単なる算術上の区切りでしかなく、甚大な被害を受けた地域の皆さんにとっては震災の影響は今も続くものであり、軽微な被害に留まった方たちにとっても、震災当日の、錯綜する情報の中で不安な一夜を過ごした体験は、その後の生活の様式に何らかの影響を与えたと言えるでしょう。

あるいは、震災の物理的には被害を受けなかった地域においても、物流網の停滞や生産活動の停頓などの直接的、間接的な影響が生じ、国内各地が高度の連携し、相互に依存しあう現在の状況では、一つの地域で起きる人的ないし物的な損害が他の地域にも深刻な影響を与えることが示されました。

何より、東日本大震災は近来稀に見る広範な地域に被害をもたらした災害であり、救援活動や災害対策に従事する関係者の多くが、自分自身も被災者であったという点は、災害と救助、救援活動の関係のあり方をわれわれに問うものでもありました。

今や、東日本大震災の発生から10年を経て、多くの人にとって一連の出来事は過去の話となっているかもしれませんし、震災そのものを体験しない人々も確実に増えています。

さらに、多くの人々にとって10年という単位は大きな節目となるだけに、今後、東日本大震災にまつわる事柄は急速に風化することでしょう。

しかし、東日本大震災での出来事と、その後の経験そのものが雲霞の如く消失するということもありません。

それだけに、われわれは、たとえ一時であるとしても忘却と風化の中から3月11日に東日本大震災を思い出し、改めてその意味を問い直したいものです。

<Executive Summary>
The 10th Anniversary of the Great East Japan Earthquake of 2011 (Yusuke Suzumura)

The 11th March, 2021 is the 10th Anniversary of the Great East Japan Earthquake of 2011. In this occasion we remember the disaster and take the new step to maintain our each memory again.

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