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青山フィルハーモニー管弦楽団第55回外苑祭コンサートについて思ういくつかのこと

去る8月31日(土)、9月1日(日)に行われた青山フィルハーモニー管弦楽団の第55回外苑祭コンサートの概要については、9月1日の本欄でお伝えした通りです[1]。

そこで、今回はその他の印象的な事柄を3点ほど紹介いたします。

第1点目は、2曲目に管楽アンサンブルとして演奏されたMrs. GREEN APPLEメドレーです。

すなわち、今回は演奏に参加しない方が踊りを担当し、第1日目と第2日目に分かれて出演したことです。

これは、8月13日(火)に明治神宮球場で行われた東京ヤクルトスワローズの「つば九郎DAY」に青フィルが出演した際にこの曲を演奏し、弦楽器で演奏に参加しない皆さんがバックスクリーン下の舞台で踊りを披露したことを再現したものです。

管楽アンサンブルは昨年度も登場したものの、その際は演奏しない方は待機していました。そのため、今回の取り組みは外苑祭コンサートでは初の試みとなりました。

演奏する人だけでなく楽器を持たない人も曲に参加しようという試みは大変意欲的であり、外苑祭コンサートの可能性をさらに広げるものであったと言えるでしょう。

第2点目は選曲です。

従来、外苑祭コンサートは青フィルにとって最初の主催公演になるということもあり、1年間を通して演奏する年間曲に、演奏時間が5分から10分の管弦楽曲を2曲ないし3曲取り上げてきました。

一方、前回、「つば九郎DAY」で演奏した曲を取り上げ、今回も同様の選曲を行うとともに、弦楽器の首席奏者による弦楽五重奏も2年続けて披露されました。

これはポピュラー音楽を管楽アンサンブル用に編曲した作品を取り上げることで聞き手により親しみやすさを覚えさせ、さらに弦楽五重奏と対比させることで外苑祭コンサートの選曲の幅を広げていると言えるでしょう。

そして、第3点目が体育館の環境の改善です。

外苑祭コンサートは夏の暑さが残る体育館で実施するため、演奏者だけでなく聴衆にとっても暑さに耐える必要がある公演でした。

これまでは体育館の窓を開けたり大型送風機を使用したりして暑さへの対策を施してきたものの、根本的な解決にはつながりませんでした。

一方、青山高校は校舎の設備の更新を継続して行っており、体育館についても2020年度に冷房が設置されました。

これによって外苑祭コンサートを取り巻く環境は大きく変化し、体育館に入場した際に猛烈な暑さを感じることは少なくなりました。

さらに2023年度下半期には体育館の内装や1階からの階段についても更新され、青山高校で最も古い建物である体育館の面目も一新されました。

もちろん、これらは青山高校の施策であり、青フィルと直接かかわるものではありません。

しかし、こうした青山高校の取り組みが外苑祭コンサートにとってもよりよい環境での講演の実施を可能にするのですから、体育の授業や運動部だけでなく、広く在校生一般に大きな恩恵がもたらされていることが改めて実感されるところです。

[1]鈴村裕輔, 青山フィルハーモニー管弦楽団第55回外苑祭コンサート. 2024年9月1日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/6b253aafac58140e2e37c29b23c2a513?frame_id=435622 (2024年9月5日閲覧).

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the Aoyama Philharmonic Orchestra the 55th Gaien Festival Concert (Yusuke Suzumura)

The Aoyama Philharmonic Orchestra held the 55th Gaien Festival Concert at the Tokyo Metropolitan Aoyama High School on 31st August and 1st September 2024. On this occasion, I remember miscellaneous impressions of the concert.

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