博士論文の提出の前に注意したい3つの事項

2022年度が始まり、大学院博士後期課程に進学した方も、学位請求論文、すなわち博士論文の執筆と学位の取得に向けて新たな一歩を踏み出したことともいます。

そこで、今回、博士論文の提出に際して、基本的ながらしばしば見逃しやすい事柄のうち、私が実際に見聞きした3点をご紹介します。

なお、以下の内容と指導教員の指導方法や在学する大学などの規程類との相違がある場合は、もちろん実際の状況に従っていただくよう、お願いいたします。


1.提出時間を間違えない
どの大学でも、学士論文ないし卒業論文の時点で、提出日を間違えるということがあり、そのたびごとに関係する教職員が対応するという光景は珍しくないものです。

そして、すでに学士論文や修士論文で論文の提出日時を厳守するという経験を積んでいるにもかかわらず、博士論文でも同様の出来事に直面する人は、決して少なくありません。

特に提出締切日が土曜日の場合、博士論文の受け取りの窓口となる部局が午前中で業務を終えることもあるため、提出の締切日だけでなく、締切時間も十分確認する必要があります。

2.提出時の体裁と部数を間違えない
これも第1項と同様ながら、事前に指定されている提出時の体裁と部数を遵守しないで博士論文を持参し、窓口で不備を指摘され、受け取りを拒まれることがあります。

大学などによって詳細は異なるものの、例えば、くるみ製本により5部提出すべきところを簡易製本で3部提出するといった場合などは、不足分を追加で提出することで受け取られることもあるものの、製本の形式が異なるため受け取られない場合は、製本に要する時間の問題もあり、提出を断念せざるを得なくなりかねません。

そのため博士論文の執筆要項に「製本により提出すること」とだけ記され、詳細が不明な場合は早めに事務の担当部局に問い合わせ、。内容を確認することが重要です。

3.提出のための資格基準を間違えない
各大学などでは、事前に資格審査に合格しないと博士論文を提出できない、あるいは提出するためには所定の基準を満たさなければならないなど、提出の資格を定めています。従って、博士論文を提出するためには少なくとも資格基準を満たしている必要があります。

ここで注意が必要なのは、基準の中に査読付き論文を掲載済みであることが求められる場合です。何故なら、掲載する雑誌などの特徴にもよるものの、査読者の指摘を受けての論文の修正や、査読者とのやり取りなどで論文の投稿から掲載まで一定の期間が必要となるからです。

従って、査読付き論文が受理されたものの掲載されるのは博士論文の提出締切日以降になるといったことになりやすく、欠格により博士論文が受け取られない場合が生じかねないのです。


いずれもごく初歩的な内容ながら、今一度ご確認いただければと思います。

<Executive Summary>
Three Important Points for a Student to Submit the Doctoral Dissertation (Yusuke Suzumura)

The Academic Year 2022 began on 1st April 2022. In this occasion I show three important for a doctoral student to submit the doctoral dissertation.

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