【参加報告】法政大学国際日本学研究所研究会「海外における女性のキモノの表象--「見る」「見られる」「見せる」の歴史人類学」

今日は、13時から14時40分まで、法政大学国際日本学研究所(HIJAS)の研究会「海外における女性のキモノの表象--「見る」「見られる」「見せる」の歴史人類学」がオンライン形式で行われました。

この研究会はHIJASが2018年度から開始した「新しい『国際日本学』を目指して」の第10回にあたり、桑山敬己先生(関西学院大学)が報告されました。司会はHIJASの山本真鳥先生、コメンテーターはHIJASの髙田圭先生でした。

今回の報告は桑山先生が現在執筆中の研究書において1章を充てている「海外における女性のキモノの表象」の内容に基づき、「西洋に受容されたきもの(和服)や室内着」としてのキモノが16世紀以来、西洋の人々の間にどのように受容され、どのように表象されたかを各種の図像資料や欧米の美術館や博物館の収蔵品などを手掛かりに議論されました。

その結果、「ゆったりしたキモノ」と「コルセットで締め上げたヴィクトリア朝のコルセット」という違いから、19世紀には解放的でエロティックな衣装としてキモノが認識されたこと、あるいは女性性の象徴である菊と男性性を示す刀の対比からキモノが鎧兜に対置されて理解されたこと、さらに19世紀に欧州を中心に広まったジャポニズムは日本を女性的な国とする考えを背景としており、日清戦争と日露戦争を経て帝国主義国家として男性性を強めたことが日本への憧憬を減退させ、ジャポニズムの衰勢に繋がったことなどが指摘されました。

文字資料だけでなく、図像資料や物質資料を活用する、日本研究におけるビジュアル・ターンやマテリアル・ターンの成果を踏まえ、博物館の図録から土産物屋の店頭までを幅広く調査し、渉猟された資料に基づいて実証的な議論が行われたことで、今回の研究会は「女性のキモノ」の持つ複層的な意味を明らかにする、意義深いものとなりました。

<Executive Summary>
HIJAS' Open Research Meeting Series (10) : "Representation of Female's Kimono in Overseas Countries" (Yusuke Suzumura)

Hosei University Research Center for International Japanese Studies (HIJAS) held HIJAS' Open Research Meeting Series (10) on 22nd May 2021. In this time Professor Dr. Takami Kuwayama of Kwansei Gakuin University made a speech entitled with "Representation of Female's Kimono in Overseas Countries".


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