「枝野新代表」は「立憲民主党」をどのように率いるべきか

本日、立憲民主党と国民民主党及び無所属議員などが合流して結成される新党の名称及び代表の選挙が行われ、党名は立憲民主党、代表には枝野幸男氏が選ばれました[1]。

投票を行ったのは新党に参加する国会議員で、投票結果の内訳は、党名が「立憲民主党」に94票、「民主党」に54票、その他の名称に1票、代表選挙は枝野氏が107票、泉氏が42票でした[1]。

新党には、立憲民主党に所属する国会議員89名のうち88名が、国民民主党の所属者62名のうち40名が参加する予定です[1]。

合流の中心となる両党の議員数を比べれば、代表に枝野氏が選出されるとともに、枝野氏の提案した党名である「立憲民主党」[2]となることは容易に予想されるところでした。

従って、今回は当然の結果と考えられます。

一方、泉氏は国民民主党からの合流議員を超える得票数を記録したことで、新党においても重要な地位を築いたこと、さらに今後も代表選挙に臨み続けることで、一度は敗退しながら最後は代表の座を手にした旧民主党の野田佳彦氏や岡田克也氏のようにいずれは党首となる可能性を手にしたと言えます。

また、党名については国民民主党の議員を14名超える54票が「民主党」に投じられたことは、「立民の結党メンバー以外は『立憲民主党』に思い入れがない」という泉氏の支持派の発言[2]を傍証するものです。

何より、旧民主党は小異について大同を忘れる議員が少なくなく、離合集散を繰り返す中で党勢を衰退させたことは周知の通りです。

その意味で、今後、新党の名称の選択を通して現れた「立憲民主党に思い入れがない」という一部の議員の心情が、党の運営を巡る対立において遠心力を発揮しかねません。

それだけに、枝野氏には、党内の融和を図るとともに、所属議員たちが権力闘争に狂奔することがないよう、9月7日(月)の共同記者会見で意欲を示した政権交代[2]に現実味を持たせるための努力を不断に行うことが求められるのです。

[1]新党名は「立憲民主党」 代表に枝野氏、野党第1党. 日本経済新聞, 2020年9月10日, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63670190Q0A910C2MM8000/ (2020年9月10日閲覧).
[2]対決路線VS政策提案. 読売新聞, 2020年9月8日朝刊4面.

<Executive Summary>
What Are Important Efforts for Mr. Yukio Edano to Lead and Manage the New Party? (Yusuke Suzumura)

The Presidential Election of the New Party was held on 10th September 2020 and Mr. Yukio Edano, the Leader of the Constitutional Democratic Party of Japan, was elected as the Leader and the name of the party was decided as "The Constitutional Democratic Party of Japan". After formation of the new party, Mr. Edano shall show the plan to fight against the Liberal Democratic Party to maintain the unification of the party.

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