ヨン・フォッセ氏のノーベル文学賞受賞の一報に接して思い出したいくつかのこと

昨日、今年のノーベル文学賞の結果が発表され、ノルウェーの劇作家であるヨン・フォッセ氏が受賞しました。

フォッセ氏は「近代演劇の父」とも称されるノルウェーの劇作家であるイプセンの再来とも称されます。

ただ、日本では戯曲集の翻訳などは見当たらず、2004年に世田谷パブリックシアターなどで『だれか、来る』が上演されたり、2007年のシアタートラムなどでの『死のバリエーション』の公演などが目に留まる程度です。

このとき、演出を担当したのが太田省吾先生であり、その関係から、 2004年1月に当時の京都造形芸術大学舞台芸術研究センターの編纂する学術誌『舞台芸術』第5号でフォッセ氏の小特集が組まれたのが、現在のところ日本語で読めるフォッセ氏の芸術に関するまとまった文献となります。

この号には太田先生によるフォッセ氏の戯曲の特徴の外観や、河合純枝先生による『だれか、来る』の翻訳も掲載されています。

今後、フォッセ氏に関する種々の論考や特集、さらに書籍が出版されることでしょう。

そのことを考えれば、日本において大きな注目を集めていない頃に特集を組んだ太田省吾先生の功績は大きなものですし、専門家の見識は時を経て様々な形でその評価されるものだと、感興を新たにした次第です。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions for Dr. Jon Fosse as the Winner of the Nobel Prize for Literature 2023 (Yusuke Suzumura)

The Nobel Foundation announces that the winner of the Nobel Prize for Literature 2023 is Dr. Jon Fosse, the Norwegian author, on 5th October 2023. On this occasion, I express my miscellaneous impression for Dr. Fosse.

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