【参加報告】法政大学エコ地域デザイン研究センター第2回テリトーリオ研究会「農業と地域活性化」

去る9月16日(水)、15時から17時30分まで法政大学エコ地域デザイン研究センターの第2回テリトーリオ研究会がオンライン方式で行われました。

今回は、「農業と地域活性化--イタリアのアミアータ・テリトーリオの事例」と題し、法政大学の木村純子先生が報告された後、陣内秀信先生(法政大学)による問題提起と参加者による質疑応答が行われました。

「都市、集落、田園を1つの共通の社会経済的・文化的アイデンティティをもつ地域」、あるいは「地形・地質、水や緑の生態系などの自然条件の上に、人々の手になる農業の営みやそれが結実した景観があり、町や村の居住地に加え、農場、修道院が点在する。その総体」としてのテリトーリオに対して、農業活動がどのような影響を持つのか、あるいは農業活動がテリトーリオをいかに活性化できるかが検討されました。

報告では、20世紀以降のイタリアの農業政策の推移や欧州連合(EU)の農村政策がイタリアに与えた影響、ファシリテーターの機能と地理的表示登録効果の確認、そして、農村ではなくテリトーリオを枠組みとした取り組みよる地域活性化の検討という、マクロレベル、メゾレベル、ミクロレベルの議論がなされました。

その結果、イタリアはテリトーリオの関連主体が協力し、テリトーリオを活用した経済活動を実践し一定の効果を上げていること、さらに日本の農村についても、非効率な農業活動と農業の多機能性を評価すること、農村と都市を食料供給機能によって捉えるのではなく、相互の協力により農業の経済、社会、環境価値から地域資源を取り出し、他の追随を許さない価値を生む仕組みを作ることの重要さが指摘されました。

理論的な枠組みと現地調査の成果を融合し、テリトーリオという概念的な存在が実際の農業政策に対していかに寄与するかが実証的に示されたことで、今回の報告は意義深いものと思われた次第です。

<Executive Summary>
The 2nd Research Meeting of the Territorio Unit of the Laboratory of Regional Design with Ecology, Hosei University (Yusuke Suzumura)

The Territorio Unit of The Laboratory of Regional Design with Ecology, Hosei University held the 2nd Research Meeting via Zoom on 16th September 2020. Speaker was Professor Dr. Junko Kimura.

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