日本とアメリカの医療制度の違い
我々にとっては当然の事でも、1つ国を跨げばそれぞれの国で異なった医療政策が行われている。
そこで、今日は日本と世界の医療制度の違いの中でも、特に日本とアメリカに焦点を当てて考えてみようと思う。
まず、日本の保険制度は「公的皆保険」と呼ばれるものである。
そもそも「公的皆保険」とは、国民すべてが公的医療保険に加入するという医療保険制度のことだ。
日本の国民皆保険制度は、国民の誰もが全国の医療機関で公的保険によって医療を受けられる。これは世界でも高く評価されている。
日本では、外来患者自己負担が原則3割負担であるのに対して、アメリカの保険制度は公的な医療保険は「メディケア」と「メディケイド」のみで、外来患者自己負担は保有する保険により年間免責金額・定額負担・負担割合等が異なるのだ。
私は、この両国の医療保険の違いこそが、新型コロナウイルスの感染拡大・死者数に直結しているのではないかと考えている。
「メディケア」と「メディケイド」についてだが、メディケアは、65歳以上の高齢者、身体障がいを持つ人、および透析や移植を必要とする重度の腎臓障害を持つ人を対象とした連邦政府が運営する制度である。
一方メディケイドは、低所得者を対象に、州政府と連邦政府によって運営されている。 そのため、これらの制度の対象外となる人は民間の保険への加入を検討する必要があるのだ。
要するに、我々大学生や健康に働いている社会人などは対象外ということになる。
アメリカの医療保険制度について「健康的な人は保険なんていらない」と言う人もいるくらいだ。
確かにそれも一理あるかもしれない。
しかし実際、今回の新型コロナウイルスの拡大で、アメリカは世界の中で最も感染者数が多い国となった。
これは“保険に加入していない人は病院へ行けず、感染した状態で働かざるを得なかった為感染が拡大した”と言って良いのではないか。
オバマ前大統領が、最低限必要な民間医療保険の加入を原則として義務化をおこなった医療保険制度改革法の通称を“オバマケア”と呼ぶ。
ここに書くと、とてつもなく長い説明になってしまうので省略するが、様々な要因でそのオバマケアは皆保険が達成されていないのだ。
そして、そのオバマケアからこぼれ落ちた人々はコロナウイルスの治療を受けようとすると、日本円にして約470〜820万円もの自己負担が発生すると試算される。そんな高額な治療費を払える人など、そう多くはないはずだ。
一方で、日本の国民皆保険は、文字通り国民全員が加入する公的医療保険制度であり、負担額は年齢で異なるが、原則3割と医療費はかかった分だけ負担するアメリカに比べてかなり医療を受ける門戸が広く用意されていると言える。
もちろん日本の医療も、GDPにおける医療費は8%と先進国で最低であり、問題点がないとは言えない。
そもそも、国ごとの文化の違いや、伝統、風習まで含めた要因が関わっているので、色々な意見があるのは当然なのだ。
なので、これらの改革には「正解」は存在しえないとも言える。
しかし、「医療」やそれに伴う「保険制度」は、「生」と「死」という人間の根本的な部分に関わる重要なものであり、疎かにすべきものではない。
だからこそアメリカは、国民全員が平等に医療を受けられる様に、もう1度「国民皆保険」の導入について見直すべきではないだろうか。