「目的もどき」を一瞬で見抜く、2つの視点
「目的はなに?」
「何より一番大切なのは、目的だ」
こんな言葉を耳にする機会は少なくない。
上司からよく言われる言葉トップ10に入るんじゃなかろうか。
(というか、入っていてほしい)
しかし、「いい目的とは何か?」まで教えてくれる人はどれくらいいるだろうか。
いや、そもそも、上司やその上の人は「いい目的の条件」をちゃんと説明できているのだろうか。
そして部下は、上司から「いい目的についての説明」をしてもらうのを、いつまでも待っていてよいのだろうか。
以上の問題意識を持ちながら、今回は「いい目的」と「目的もどき」を見抜く術について考えてみたい。
提案書や企画書でお目にかかる「目的もどき」たち
~の効率化
~の集約化
~の一本化
~の標準化
~の見える化
~による生産性の向上
社内の資料、あるいは社外から送付された資料で、よく見かける「目的」を羅列してみた。
みなさんも、この中の2~3つくらいは、どこかで見かけたことがあるだろう。
以上に挙げたした目的たちが「正しい目的」なのか、それとも「目的もどき」なのか。
実は、「目的もどき」を一瞬で見破るための2つの視点がある。
「何のため?」を解釈の余地なく表現できているか?
「位置づけ」がクリアになっているか?
この2つの問いに即答できるのであれば「正しい目的」、そうでなければ「目的もどき」だ。
視点①「何のため?」を解釈の余地なく表現できているか?
「サンプリングの目的は、1人でも多くのお客さまと出会うことである」
よく資料の「目的のページ」で見かける記述。
実はこの記述も「目的もどき」の1つだ。
そのことを教えてくれたのが、音部 大輔氏の『マーケティングプロフェッショナルの視点』だった。
本書は、先ほどのサンプリングの目的に対して、次のように指摘している。
「サンプリングの目的は、1人でも多くのお客さまと出会うことである」
これだと「何のために、1人でも多くのお客さまと出会う必要があるのか?」がわからない。
新規顧客の話をしているのか、既存顧客にフォーカスしているのか、いろいろと読み手が解釈できてしまう。
そうなると、みんなで同じ目的地を目指していたはずなのに、向かっている場所が少しずつ違ってた…なんてことになりかねない。
そうならないためにも、いろんな角度で、目的に対して質問を浴びせていく必要がある。
その目的を達成しないと、そもそも何がそんなにマズいのか?
目的が達成された状態は、どんな状態なのか?
こんな問いかけに耐えうる目的こそが「良い目的」である。
みんなの行き先がズレないこと。
そのためにも、「何のため?」を解釈の余地なく表現できていること。
これが、「目的もどき」を見抜く1つ目の視点だ。
視点②「位置づけ」がクリアになっているか?
もう1つ、目的を立てるうえで大切な要素がある。
「位置づけ」だ。
この大切さを教えてくれたのが、森岡 毅氏の『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』だった。
まずは、本書で紹介されている「戦略のカスケード・ダウン」なる概念をご覧いただこう。
上位の「戦略」「戦術」が、下位の「目的」になる。
つまり、上位の戦略や戦術につながらない目的は「目的もどき」なのである。
いくら壮大な目的を掲げても、それが全社の、あるいは自分が所属するチームの目的達成につながらなければ、社内稟議で承認を得るのは難しい。
自分が立てた目的が、全社の理念やビジョンと整合しているか?
上位の部やチームの戦略・戦術と整合しているか?すなわち、なぜ自分がやらなくてはいけないのか?
これらの問いに耐えうる目的こそ、「位置づけ」がクリアな目的である。
これが、「目的もどき」を見抜く2つ目の視点だ。
まとめ
最後に、「目的もどき」を見抜く2つの視点についてまとめておこう。
①「何のため?」を解釈の余地なく表現できているか?
その目的を達成しないと、そもそも何がそんなにマズいのか?
目的が達成された状態は、どんな状態なのか?
②「位置づけ」がクリアになっているか?
自分が立てた目的が、全社の理念やビジョンと整合しているか?
上位の部やチームの戦略・戦術と整合しているか?すなわち、なぜ自分がやらなくてはいけないのか?
以上の問いを考え抜くことができれば、これまでとは比べ物にならないくらい高い精度の目的を立てることができるはず。
改めて、この学びを与えてくれた2冊に最大限の感謝したい。
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