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【保存版】資料の目的をドンピシャで言語化する方法

相手に一発でわかってもらって、動いてもらえる資料を作りたい。

コンサル会社に入社したてのときに、常日頃から思っていたことです。
そのために、
・読み手を動かすストーリーの作り方
・わかりやすい文章の書き方
・外資コンサル流のスライドの見せ方
…みたいな本なり記事を読み漁りました。

ところが、上司からのOKが全然もらえない。
よくweb上に転がっているような「外資コンサルの美しいスライド」的な見た目の資料に仕上げました。
スティーブ・ジョブズといったプレゼンの名手の本を真似して、力強いストーリーを意識して文章を書きました。
なのに、資料を説明した直後のクライアントは首をかしげたまま。
上司から補足説明をしてもらわないと、言いたいことがクライアントに伝わらない。

一方で、上司が書くスライドは、決してX(Twitter)のタイムラインに流れてくるような美しいスライドではなく、
・配置が乱れた図解
・箇条書きばかりのスライド
・変な配色
のページばかり。
しかし、クライアントは一発で納得してくれる。

僕が作った美しいスライドより、上司が書いた汚いスライドのほうが、人を動かす力を持っている。
いったいなぜ、こんなことが起きるのか?

ヒントは、上司からもらった指摘をため込んだメモ帳に書いてありました。
お恥ずかしい限りなのですが、何度も同じキーワードがメモしてありまして。

「この資料、誰に何をしてほしいの?」、、と。

要は、資料の目的をきちんと言語化しなさい、ということです。
初歩的な指摘ではありますが、意外と「資料の目的を具体的に言語化する方法」を習った方は少ないのではないでしょうか。

本記事では、私がこれまで受けた大量の赤入れを整理して方法論化した「資料の目的を外さない方法」を綴っておきます。

提案書や企画書でお目にかかる「目的もどき」たち

・~の効率化
・~の集約化
・~の一本化
・~の標準化
・~の見える化
・~による生産性の向上
・○○システムの導入
・生成AIの活用

社内の資料、あるいは社外から送付された資料で、よく見かける「目的」を羅列してみました。

これらは、いずれも「目的もどき」です。
なぜならば、
・何か言っているようで、何も言っていない(イメージが湧かない)
・目的ではなく手段臭がする
だからです。

イケていない目的設定は、関係者を不幸にします。

「イケていない目的設定は、関係者を不幸に陥れる」が伝わる画像をChatGPTに書いてもらった

「目的」というのは、
・その目的さえ読めば、自発的に関係者が動くことができる
・かつ、自発的な動きに統一感を与えるもの
でないといけません。

資料の目的を定めるときの3つのポイント

では、どうやって「ちゃんとした目的」を言語化すればよいのか。
概要を1枚でお示しすると、次の通りです。

資料の目的は「誰に、何を伝え、どんな行動を取ってもらいたいか」を指します。
したがって、資料の目的を定めるためには、以下3点を考える必要があります。

  1. 誰に伝えるのか?

  2. 何を伝えるのか?

  3. どんな行動をしてほしいか?


例えば、あなたがスキルアップのためにデザインスクールに通いたいとしましょうか。

このとき、伝える相手が会社の上司であれば、

  • 目的
    上司に「どうしてもデザインスクールに通いたい」と伝え、「通っていいよ」と言ってもらうこと

  • 伝えるべきこと

    • デザインスキルがどの程度身につき、現在の業務にどれくらい役に立つのか

    • デザインスクールに通ったとしても、現在の業務に支障はない程度の負担感か

伝える相手が妻であれば、

  • 目的
    妻に「どうしてもデザインスクールに通いたい」と伝え、「通っていいよ」と言ってもらうこと

  • 伝えるべきこと

    • デザインを学ぶと、どれくらい年収アップが期待できそうか

    • デザインスクールに通っても、家事育児に支障は出ないか(もしくはどうやってカバーするか)

このように、目的によって伝えることが大きく変わってきます。
したがって、最初に「誰に、何を伝え、どんな行動を取ってほしいか」を明確にしておく必要があります。

①「誰に伝えるのか?」を考える

ここでは、資料の読み手の「NHK」を考えていきます。

  • N(認識):何を知っていて、何を知らないのか?

  • H(反応):こちらの提案/報告にポジティブかネガティブか?賛成か対か?

  • K(関心):何を重視しているか、気にしているか?

例えば、営業業務を効率化するシステムを導入する提案書を、経営層に説明するときを想像してみましょう。

  • N(認識):何を知っていて、何を知らないのか?

    • システムの専門用語はご存知ないだろうから、極力使わない。どうしても専門用語が必要なページでは、補足説明を必ず入れなきゃな

    • 経営層は営業経験がある方が多いから、システムを入れることで、具体的に営業業務がどう変化するのか、いくつか例を示したほうがいいかも

  • H(反応):こちらの提案/報告にポジティブかネガティブか?賛成か対か?

    • Aサービスの営業責任者の〇〇さんはポジティブな反応を示してくれそう。以前お話したときも「営業効率が上がって、商談に避ける時間が増えるのであれば、ぜひやってほしい」とおっしゃっていた

    • Bサービスの営業責任者のXXさんは難色を示しそう。以前も営業支援システムを導入しようとしたそうだが、そのときは失敗したらしい。当時の営業側の取りまとめ担当をしていたのがXXさんなので、「今回も失敗するんじゃないの?」と否定的な考えを持っているかもしれない。「前回はなぜ失敗したのか?」「どうすれば同様の失敗を回避できるか?」の説明も事前に準備しておいたほうがいいかも

  • K(関心):何を重視しているか、気にしているか?

    • 最終的な決裁者である△△さんは、今回のシステム導入による費用対効果を最も気にしていそう

    • 営業責任者の〇〇さんとXXさんは、「システム導入によって、現場業務がどう変わるのか?導入時にどのような負荷が発生するか?それを現場にどう説明するか?」を気にしていそう

以上のように、資料の読み手の解像度を上げておけると、資料の目的や伝えるべきこと/伝えないことを明確にしやすくなります。

②「何を伝えるのか?」を考える

次は、資料を通して「何を伝えるのか?」を言語化していきます。

基本:「要するに?」にパッと答えられるようにしておく

まず基本形として、資料で伝えたいことを一言で、「要するに?」でひねり出します。

■悪い例
「新システムについてお伝えします」
「新システムの概要はこれです」
…などは、伝えたいことを抽出できていません。「要するに?」という問いから逃げています。

■良い例
「新システム導入によって営業業務が今までの1/2程度ラクになります」
…のように、ハッキリと言い切るようにしましょう。

この「要するに一言」をひねり出すためにオススメのトレーニングがあります。
~について禁止令」です。

例えば、メールとかチャットの件名が
・先日のミーティングについて
・来週の営業資料について
・〇〇システムについて
…だと、何が言いたいかサッパリわからない。メールを開いたり、本文を読んだりしないと内容がわからない。これだと不親切。

そうではなく、
・8/12のミーティングのお礼&議事録共有
・8/19○○社向け営業資料のレビュー依頼
・【お伺い:8/20〆希望】○○システムのXX画面の不具合の解消法
…だと、件名を見るだけで、何を伝えたいかが明確です。
件名ひとつで、読み手に時間をなるべくかけさせない配慮がうかがい知れます。

「読み手に求める行動がパッと伝わるように、メールの件名を工夫しましょう」をChatGPTに画像にしてもらったやつ

応用:目的をシャープに言語化するための2つの問い

資料の目的をもっと具体的に言語化するためには、次の2つの問いを考えてみることをオススメします。

①「何のため?」を解釈の余地なく表現できているか?

  • その目的を達成しないと、そもそも何がそんなにマズいのか?

  • 目的が達成された状態は、どんな状態なのか?

例えば、
「営業効率化するためのシステムを導入しないと、何がそんなにヤバい状態なのか?放っておくと、どんな悪夢が待ち受けているのか?」
「逆に、新システムが導入されたら、どのような状態が実現するのか?」
…を、読み手の頭の中に映像が流れるレベルで語れるようにしておきましょう。

②「位置づけ」がクリアになっているか?

  • 自分が立てた目的が、全社の理念やビジョンと整合しているか?

  • 上位の部やチームの戦略・戦術と整合しているか?すなわち、なぜ自分がやらなくてはいけないのか?

この考え方は、『USJを劇的に変えた たった1つの考え方』という本が教えてくれるのですが、図示するとこんな感じ。

『USJを劇的に変えた たった1つの考え方』の図表を参考に作成

上位の「戦略」「戦術」が、下位の「目的」になる。
上位の戦略や戦術につながらない目的は「目的もどき」。
いくら壮大な目的を掲げても、それが全社の、あるいは自分が所属するチームの目的達成につながらなければ、社内稟議で承認を得るのは難しい。

だからこそ、「なぜ他ではなく、自分がやるのか?」に答えうる目的を設定することが大事になってきます。

③「どんな行動をしてほしいか?」を考える

資料は、読み手に動いてもらってなんぼです。
ただの共有目的の資料なんてものは存在しません。いずれの必ず「読んだ先のアクション」を想定して書かれています。

読み手に取ってもらう行動を見越したうえで、資料が果たすべき役割は以下4つに集約されます。

  1. 提案:承認(承諾)してもらう、買ってもらう

  2. 依頼:ToDoを相手にやってもらう

  3. 報告:「このまま進めてOKだよ」と言ってもらう or 「このままじゃNGだから、こうして」と助言をもらう

  4. 説明:いざというときに動けるようになってもらう(例:顧客の質問に答えられるようになってもらう)

営業の提案資料は「新サービスを導入することを顧客に承認してもらうため」に書きます。
依頼内容をまとめた資料は「やるべきToDoを、相手にミスなく納期どおりに実行してもらうため」に書きます。
進捗報告資料は「プロジェクトをこのまま進行してよいか、リカバリー策を打つべきかを判断してもらうため」に書きます。
社内に新サービスを説明するときの資料は「顧客から新サービスについて聞かれたら、なるべく自分たちで答えてもらう。答えられないものは、XXまで連携してもらう…ため」に書きます。

資料を読んだ30秒後には、読み手が手を動かせるレベルでイメージが湧いている状態」を作ってあげる。
これが3つ目のポイントです。

まとめ

ここまでの内容を改めてまとめておきます。

  • 相手を確実に動かす資料を作るためには、一丁目一番地として「資料の目的」を具体的に言語化する必要がある

  • 資料の目的は、以下の3点によって構成されている

    • 誰に伝えるのか?

    • 何を伝えるのか?

    • どんな行動をしてほしいか?

  • 「誰に伝えるのか?」を考えるときは、NHKを分析する

    • N(認識):何を知っていて、何を知らないのか?

    • H(反応):こちらの提案/報告にポジティブかネガティブか?賛成か対か?

    • K(関心):何を重視しているか、気にしているか?

  • 「何を伝えるのか?」は、次の問いにピシャっと答えられるように言葉を研ぎ澄ましておく

    • 「要するに?」にパッと答えられるか?

    • 「何のため?」を解釈の余地なく表現できているか?

    • 「位置づけ」がクリアになっているか?

  • 「どんな行動をしてほしいか?」を明らかにするためにも、資料の役割が以下のどれなのかをハッキリさせる

    • 提案:承認(承諾)してもらう、買ってもらう

    • 依頼:ToDoを相手にやってもらう

    • 報告:「このまま進めてOKだよ」と言ってもらう or 「このままじゃNGだから、こうして」と助言をもらう

    • 説明:いざというときに動けるようになってもらう(例:顧客の質問に答えられるようになってもらう)

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