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2024年5月に読んでよかった本、残念だった本

まずは、5月の読書実績を振り返りたいなと。

公私ともにバタバタしてしまい、いつもより冊数は少なめですが、そのぶん高確率で良書に出会えた月でした。
いつもは5冊に1冊「これは紹介したい」と思える本と出会えれば御の字。
豊作の月でしたので、読んでよかった本を書き綴っておきます。
一方で「は?」と思う本もあったので、読んで残念だった本も備忘録がてら書き留めておきます。

まずは「良書の基準」をおさらい

今回はいろいろある本のなかでも、ビジネス書を対象に良書を紹介していきます。
ビジネス書の良しあしは、読んだ内容を実践してどれだけ再現性高く効果が出るか。
そういったビジネス書を選ぶためにも、シンプルに「わかりやすさ×深さ」のモノサシで良書を選定していきます。

  • わかりにくくて浅い本は論外

  • わかりにくくて深い本は学術書

  • わかりやすくて浅い本は綿菓子

有象無象の中から「わかりやすくて深い本=栄養価の高い本」を引き当てるために、いつも血眼になって本屋を徘徊しております。

まず、わかりやすさを測るときは、以下の2点をチェックしています。

  • 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?・・・目次を読んでチェック

  • 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?・・・3ページくらい読んでみて、言い回しをチェック

次に、深さをチェックするときは、コンサルティングファームでの学びを応用して、本に対して「So what?」「Why so?」「How?」と突っ込みを入れるようにしています。

  • 他の本にない「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)

  • 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?理論やデータに支えられているか?(Why so?)

  • 明日からすぐ実践できるレベルで具体的に記されているか?(How?)

この「わかりやすさ×深さ」の基準で、5月に読んだ本のなかでオススメのものを紹介していきます。

読んでよかった8冊

BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?

オリンピックなどの数兆円規模のプロジェクトは、なぜいつも予算超過してしまうのか?を語りつくした本。
本書を読めば、プロジェクトの計画段階で「このプロジェクトは燃えるな」と判別できるようになります。
プロジェクトを成功させる方法というよりは、「何を見逃すと、プロジェクトが失敗するのか」のロジックがわかる本。

前職で「半年でやる予定だったシステム移行を、3ヶ月でやってほしい」というタイミングでプロジェクトに突っ込まれたことがあるが、そのときに本書と出会いたかった・・・

勝つためには負けないことが大事なので、負けない方法を学べるという意味で今後も重宝したい本だなーと。

コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた

もうね、この本で語られている「コンセプト構文」の破壊力たるや、すごかったですよ。
今月からnoteのメンバーシップをはじめたんですが、そのコンセプトも本書を読みながら言語化しました。

「誰でも、筋のいいコンセプトを言語化する方法は?」
「本書のコンセプト構文を使ってみてどうだったか?」
…については、以下noteにもまとめているので、詳しくはこちらをご覧いただければ。

個人的に、5月に読んだ本のなかで「最も実務で活かすことができた本」であります。

自分とか、ないから。教養としての東洋哲学

ぱっと見、実用的な本には見えないのですが、「生きていく上での息苦しさが一瞬で消えた」という意味で非常に役に立った本。

東洋哲学と以前向き合ったことがあるのですが、ブッダやら老子やら荘子やら、読めば読むほど迷宮に迷って挫折した経験がありました。
しかし、『自分とか、ないから。』の著者、東大卒こじらせニートの超訳っぷりは凄まじいですね。
誰でも、東洋哲学の教えがスッと脳みそに焼き付くように、ロジカルかつコミカルに語ってくれます。コミカルだから、読書が苦手な人でも夢中で最後まで読めてしまう。

  • 「本当の自分」という幻想を抱き、「これは自分らしくない」「これやれば自分らしくいれるかも」と自分探しに振り回されるから苦しくなる。本当の自分なんていねーよ

  • 家族も会社もぜんぶ「フィクション」。フィクションだと思うと、子どもが暴れまわっていようが、会社でクソ上司に怒られようが、何とも思わなくなる

…など、生きていくのがラクになる視点をもらえる良書。

ユニクロ

シンプルに読み物として面白かった本。
『海賊と呼ばれた男』みたいに映画化してほしいと心から思いますね。

お恥ずかしながら全然知らなかったんですが、ユニクロをグローバル企業に育て上げた柳井氏は、昔は内気で無口な少年で、大学時代はパチンコ・麻雀にあけくれ、新卒入社した会社を9か月で辞めてプータローになっていたそうで。
その後、家業を引き継ぐも、社員がどんどん離れていく暗黒時代に突入。
そんな凡庸に見える柳井氏が、どのようにユニクロを日本を代表する企業へと成長させたのか、溢れ出る現場感で綴られています。

「すぐに役に立つ実用書」という意味では、冒頭の良書の基準とやや外れるのですが、間違いなくビジネスパーソンの糧になるパワーをもった本ですので、本書を紹介せざるを得ませんでした。

本当に家を買っても大丈夫か?と思ったら読む 住宅購入の思考法

「家を買うか否か」という論点は、大多数の人間が直面するはず。
なのに、不思議なことについ先日まで、どんな観点で「家を買えばよいか」を考えればよいか、まったく知らない状態でした。
30代に突入し、周りが家を買いだす中、これはマズイと思い、本書を手に取ってみました。

家を買うかどうか、その結論はロジカルに導き出すことができる。
こんなスタンスで、マッキンゼー出身でバキバキの論理思考を持つ著者が「住宅購入の思考法」を授けてくれます。

生きのびるための事務

事務作業の捉え方を根本から変えてくれる本でした。

あくびをしながら、毎朝メールを返信していく。
そんな「飯を食うために仕方なくやる事務」の時間で、人生の大半を過ごしてしまうのはもったいない。
…的な違和感は、少なからず誰もが抱いているものでしょう。

しかし、「どうすれば、朝起きるのが楽しみで仕方なくなるくらい、事務作業が楽しくなるか」を語ってくれる本は全然なかった。
そんな中で登場した本書は、漫画形式で展開されるゆるい感じの本なのですが、1ページずつ本質的な学びを提供してくれます。

測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?

社内のデータマネジメントを推進している立場として、ちょっと読むのが怖いものの、避けては通れないと思い、読んでみた本。
読んで正解でした。

日々あらゆる顧客行動の履歴が取得できるようになり、指数関数的に増え続けるデータ。
だからこそ、「あれもこれもとデータを見たくなる欲求」「人の行動を数字で測りたがる欲求」と冷静に向き合い、メリットとデメリットを天秤にかけて慎重に数値化を進めていく必要がある。
では、数値化するかどうかをどういう観点で決めればよいのか?を教えてくれる良書でした。

どれだけ良書だったかは、以下記事でも解説していますので、気になる方はご覧くださいませ。

データ分析に関わる人は必携の本かと。

読んで失敗した本

以上、読んで本当によかった本を紹介させていただきました。
5月は豊作で嬉しい限りです。

一方で、イマイチな本とも多く出会いました。
特に何も学びや感想を抱かなかった「虚無な本」はスルーしているのですが、「これはちょっとおかしくないか?と違和感を抱いた本」までスルーするのはもったいないなと。

忖度なく思ったことを率直に、言葉を選ばずに綴ってまいります。
「代わりにこっち読んだ方がいいよ」という本も紹介していきます。

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