♯04パッケージについて考えてみる - コンビニPB商品 -
今回は今話題になっている"PB商品"です。
ローソンPBのパッケージデザインが起点となり、改めてブランドやパッケージについて考察する記事が散見されるようになりました。
ローソンPBは3月にはまとめが作られていることから結構前の段階から話題になっているようです。最近この話題が大きくなっているのをみると、全国に行き届いたのは最近なのかも知れませんね。
今回は大手コンビニ3社に絞り、各社のPB商品を比較してみることでその背景、企業の方針やこれからを感じ取れるのではないか、という仮説のもとPB商品のパッケージデザインを見ていきたいと思います。
比較するにあたり同じカテゴリーのもので行うなのがベストだと思います。今回はどのPBでも取り扱っているであろう牛乳と、違いが分かりやすそうなチルド食品をメインに取り上げていきます。
( スケジュールの関係から初回投稿時は牛乳のみです…🙇♂️ )
そもそもPB商品って?
大前提として"PB商品"とは何かを振り返っておきましょう。
PBとは"Private Brand"の略称です。
おおまかな意味としては「小売側が企画し販売する商品」ですね。対義語でNB、National Brandという言葉もあります。こちらはメーカー側がもっているブランドです。ここでポイントなのがPB商品はNB商品と同じメーカーが製造していることが多いという点です。
具体例を挙げますとセブンイレブンのPB、セブンプレミアムの緑茶「一(はじめ)」はコカコーラが製造しています。ここで不思議に思う方も多いかも知れません。コカコーラには同じく緑茶ブランド「綾鷹」があります。
あえて自らのブランドシェアを奪いかねないライバルを作る必要性がどこにあるのでしょうか。PB商品とNB商品、小売側と製造側のそれぞれにメリットとデメリットが存在します。消費者視点においてはPB製品はとても安いというポイントがあります。
PBとNBの話は若干複雑になり、今回の主旨とは外れてしまう為、参考になるwebページへのリンクを設置させていただきます。
牛乳のパッケージを比較してみる
それでは早速パッケージを比較してみていきましょう。比較する上でそのカテゴリーを代表する商品を基準に据えみてみることで同一カテゴリー内での立ち位置も見ることができるのではないでしょうか。
今回「明治おいしい牛乳」を選んだのはこのパッケージデザインがTHE牛乳と呼ぶのに相応しいと個人的に考えている部分があり、基準としてこれ以上はないと思い選びました。
並べて見てみるとセブンPBのものが一番ブランドロゴが見えてきますね。しかしレイアウト的には王道をいく牛乳としてとても分かりやすいパッケージになっています。だれもが間違いなく手にとれるデザインですね。
ファミマPBはどうでしょうか。牛乳としては王道ですが、PB商品として認知されるかどうか難しいくらいにブランドロゴが溶け込んでいます。
ブランドが前面に出ないというメリットはあるかもしれませんが、人によっては他より値段が安い牛乳、とだけ思われてしまう懸念もありそうです。
そしてローソンPBです。牛乳としての識別性は低いながらもPBとしての存在感はきっちりと出しています。パッケージとしての主張は少ないですがPBとしてはとても主張しているちょっと不思議なパッケージデザインです。
これら3つを比べると次のような傾向が分かります。
セブンPB「セブンPBとしての存在感と商品の識別性の両立」
ファミマPB「商品としての識別性」
ローソンPB「ローソンPBとしての存在感」
コンビニ3社を比較してみる
パッケージデザイン単体で見てみるとどうしてもパッケージデザインの好き嫌い、好みの問題に発展してしまいがちです。当然中身をしっかりと伝えられているかどうかの識別性や認識性というパッケージデザインの機能として守るべき部分はあります。しかし各社がこれらのパッケージにどのような役割を持たせているのかを考えてみることで、また違った捉え方ができるのではないでしょうか。
その為にも3社について少しだけ詳しくみてみましょう。
まず重要なのはどの相手に向けたものなのかを考えることで
どのような目的があるのか、輪郭が見えてくるでしょう。
店舗数をみてみます。
・セブンイレブン 国内店舗数: 20,930店舗
・ローソン 国内店舗数:14,444店舗
・ファミリーマート 国内店舗数:16,610店舗
(それぞれ公式サイトの企業情報を抜粋しています)
セブンイレブンがやはり圧倒的ですね。店舗数が多いということはそれだけ利用している顧客の数も多いということになると思います。そのためセブンイレブンでは多くの人に受け入れてもらえるであろう普遍的なパッケージデザインであることが求められそうです。
次にそれぞれの企業のキャッチコピーを見てみましょう。端的に表現されているキャッチコピーはその企業を知るための良い材料になりそうですね。
・セブンイレブン「近くて便利」
・ローソン「マチのほっとステーション」
・ファミリーマート「あなたと、コンビに、ファミリーマート」
セブンイレブンはコンビニとしての価値である利便性にフォーカスしています。ローソンとファミリーマートでは身近な存在としてのコンビニ、親しみやすさにフォーカスしています。
PB商品は小売と顧客の間を繋ぐもの
PB商品は小売が顧客と直接関係性を持てる数少ない接点のひとつです。
というのもコンビニではNB商品だけを扱っている限り店舗としての利便性、立地のみで選ばれてしまいます。
ホットスナックや取り扱うものに若干の違いはあれどコンビニで買い物をしようと思った際にブランドによってコンビニを選択するでしょうか。
多くの人が日々の生活の動線上に重なる立地にあるコンビニを利用するのではないでしょうか。
今までコンビニに一番求めていたものが利便性だったかと思います。
「コンビニエンス / convenience」という言葉の意味自体が「便利」「好都合」といった言葉を指しています。そして営業時間を延ばし利便性をあげ、営業時間が名前の由来になったセブンイレブンもありますね。
しかし現在では店舗が多く存在し、ひしめいている中で立地による利便性というものは抜きん出た価値ではなくなっています。そこでより選ばれるブランドであるために魅力的な商品の開発やコンビニコーヒーやポイント、各種サービスが展開されています。
その中でPBは小売が顧客とコミュニケーションできる数少ない手段の一つと言えそうですね。
まとめ
浅くはありますがここまでPB商品とコンビニ3社に関してみてきました。
それぞれの住み分けもなんとなく見えてきたような気がします。
規模の大きさで利便性を追求する王道の「セブンイレブン」
マチのほっとステーション、生活に溶け込む「ローソン」
親しみと利便性で地域に根付く「ファミリーマート」
規模が大きく便利という武器を最大限研ぎ澄ますセブンイレブンにおいては安くて便利でどのような価値を提供してくれる商品なのかがすぐわかることがパッケージデザインを評価することにおいて最重要なのではないでしょうか。
一方で近くて便利というコンビニの価値を「近い」≒「生活に寄り添う」という違う角度から捉えたローソン。無印良品に近い形ではありますが生活に溶け込むことで豊かな生活を演出してくれるパッケージデザインですね。
無印良品は憧れを感じる近いようで遠い存在ですがローソンは親しみを強く感じるようになっていますね。
コンビニスイーツの火付け役であり魅力的な商品が数多く存在するファミリーマート。ポジション的にはセブンとローソンの中間に位置しますが、それぞれの様子を伺っているような気がします。今後の動きが気になりますね。
各社選ばれるブランド、ファンになってもらう為にどのようなアプローチをしていくのか、その姿勢がPB商品には現れているのではないでしょうか。
最後に
今回のローソンPBがとても話題になっても個人的にはとても嬉しくあります。普段ここまで多くの消費者の間でパッケージデザインが話題になることは少ないのではないでしょうか。
nendoさんのデザインのファンでもある自分にとっては考えが伺いたくてワクワクしていました。佐藤オオキさんの出演するラジオCREADIOでもコメントされていましたが、視認性や困らせている点にも言及していました。
今後店舗の内装や棚、POPもリニューアルされていくそうです。その第一歩としてのPBのパッケージデザインを手掛けられたとお話されていました。
今後の動向に注目ですね。
PB商品はなかなか考え甲斐のある題材だと感じましたので
随時更新していければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
・画像出典 / 参照 公式サイトニュースリリースよりお借りしています
日本コカ・コーラ https://www.cocacola.co.jp/
セブンイレブン https://www.sej.co.jp/
ローソン https://www.lawson.co.jp/
ファミリーマート https://www.family.co.jp/
nendo http://www.nendo.jp/