(小説)星の降る街 3
私は元々大手の総合食品メーカーに勤務していた。三十八歳から五年間、広報部で商品カタログや小冊子、広報誌などの執筆や編集作業が主な業務だった。その時の取引先という縁で、離婚とほぼ同時に会社を辞め、文京区にある編集プロダクションと契約し、編集者として仕事をしていた。本を作るような大きな仕事は自宅へ持って帰っても出来るが、効率よく稼げる特急制作物の広告代理店からのパンフレットや官公庁の広報物など打ち合わせの必要な企画デザインや執筆物は出勤しないと出来なかった。赤田社長に事情を説明