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「BGMがDJ的演出」なゲーム「エクストルーパーズ」のかっこよすぎる音楽の紹介と忘れられない思い出

ゲームの音楽ってどういう音楽を想像しますか?
まず、このエクストルーパーズのPVを見て欲しくて。
こういった音楽がプレイ中のBGMとして流れてくるゲームのお話です。

プレイから何年たっても、印象深いゲームの音楽っていうのは忘れられないもの。
そんなゲーム音楽の中でも、特に「かっこいい」そして、「ゲームの演出と相まって強く心に残っている」ゲーム音楽である、「エクストルーパーズ」について紹介します。


インタラクティブっていう言葉があって。
意味としては双方向というか、相互作用というか。一方通行じゃないというか。
ゲームの音楽は、建物に入ったりボスと戦ったり、場面の変化で曲調が変化します。BGMにプレイヤーが主体的に作用する(プレイに応じてインタラクティブに変化する)ことが出来るので、ゲームへの没入感が増します。
剣を振るとかジャンプするとかで効果音が発生するのも、プレイをきっかけに音楽が発生するのでインタラクティブだと思ってるし、こういう風に「ただ流れているのを聞くだけ」じゃない音楽を、個人的にはインタラクティブ音楽と捉えてます。(任天堂の記事がわかりやすい↓)


10代の頃からクラブとか行き始めて、色んな人と知り合って。
好きな音楽の幅も広がって。クラブミュージックが好きになっていって。
色んなイベントに行ってみて、「どんな音楽でもクラブで流していいんだ!」と気づき、ゲーム音楽でDJを始めたのが大体10年前。

そんな経緯があり、ゲームのBGMがクラブミュージックだったりするとすぐ好きになって、作曲者さんやサントラをチェックします。そしてDJでも使ったりします。
というか、DJうんぬんの前に、ゲームの中でそういった自分の好きなジャンルの音楽が聞くことが出来るのが嬉しい。

「エクストルーパーズ」のBGMは、テクノやトランスなどクラブミュージックで統一されていたので、一瞬で好きになったわけです。
実はゲームプレイ前からサントラは持っていたのだけど…いざ実際にゲームをプレイしたら、音楽に加えてゲームプレイと音楽の相互作用に感動してしまいました。


ゲーム「エクストルーパーズ」とは

パブリッシャーはCAPCOM。PS3/3DSで2012年に発売されたゲーム。
ジャンルはTPS、アクションシューティングという感じ。
TPSであるけど、全体的な見た目はPUBGではなくスプラトゥーン、オーバーウォッチ寄り…というか、アニメに近い。



ビジュアル
公式のゲームジャンルの紹介に「マンガチック爽快アクション」とある通り、ややマンガチックなキャラクターがSF世界でTPS。
ゲーム内の演出がマンガ調(効果音が文字で演出されたり、コマ割りでストーリーの演出がされたり)であり、アニメーション感がさらに強い。
効果音の文字表現なども含め戦場のヴァルキュリアなんかと似てるところがあると思う。全体を通して、ヒーローもののマンガやアニメを見ている感覚に近いかも。

イメージはPVを見てもらえるとわかりやすい!



ストーリー
脚本はstory ridersの佐藤大さん。アニメでは「カウボーイビバップ」、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」など、ゲームでは、「エースコンバット3 エレクトロスフィア」や、「バイオハザード:リベレーションズ」の脚本も担当されてます。

熱血主人公:ブレン (CV:梶裕貴さん)が、自分の信じる正義を貫く熱いストーリーが物語の軸。
舞台となるのは入植実験候補第三番惑星「EDN-3rd」。ブレンはここに到着したところから物語が始まるんだけど、惑星に到着する直前で謎の勢力に襲われる。なんとか撃退したけど惑星には不時着。
苦労して拠点までたどり着いたけど、惑星には危険な現住生物、対立勢力もいるし、もちろん襲ってきた謎の勢力もいるし。
ブレンは相棒というか、愛機のロボット「ギンギラ」とともにトラブルや困難に立ち向かっていく…!

もうかなり前にプレイしたのでストーリーはうろ覚え、
詳しくはゲームメディアの記事で…。


ブレンの父親が英雄だったり、ヒロインのティキ(CV:早見沙織さん)とも運命的な出会いを果たしたりとボーイ・ミーツ・ガールな展開。
ブレンは割となかなか無い熱血さだなと感じたので、あまり熱血すぎる主人公は苦手…って感じちゃうとちょっとこのゲームを楽しむのは難しいかも。

逆に言えば、この点に違和感なければ十分楽しめると思う。難易度は易しいので、普段ゲームしない人でもつまづくことはないんじゃないかな。
ゲームシステム的に、あれとこれとこの技術を使わないとクリアが難しい、っていうわけではないです。
簡単にTPSの爽快感を味わえるのでTPSやFPS初心者でも楽しめます。俺はTPS苦手だけどめちゃくちゃ楽しめました。



本題:音楽について

コンポーザーは北川保昌さん。
パワプロシリーズや大逆転裁判、最近だと「囚われのパルマ」の音楽も担当されています。
カプコンではこれが普通なのか、それともエクストルーパーズの音楽のこだわりなのかはわからないけど、サウンドディレクターのDJサンドウさん、北川保昌さんのインタビューがとても詳しく、濃い内容になっているので一読、といわず何度も読む価値あります。
というか、インタビューを読んでいくうちにその音楽へのこだわりの熱量が凄かったので、インタビュー記事に沿って、ご紹介します。
(以下、薄く色掛けの部分は各インタビューからの引用です)


「DJ技術」で表現されたゲーム内演出

サンドウ
一言で言うとエクストルーパーズのBGM演出はDJ的なんです!
ジャンルがクラブミュージックであるゴリゴリのテクノだからこその表現ですね!

ピッチの上げ下げでの場面演出
最近ゲームの中で場面によって同じ曲でも曲調が変わる(拍を合わせたまま別のアレンジに変わる)っていうのはよく聞くけど、エクストルーパーズってピッチの上げ下げで演出してるって知ってびっくりした…。
そして、「ピッチを上げることで緊迫する演出、ピッチを下げることで何もできないもどかしい演出」、これは通常時の曲調、ピッチを体が覚えているからこそできる演出だと思う。
「あれ、普段より曲のスピードが違う/何か変だ」と無意識に認識するからこそできるものだし、これはある意味でBGMであること、音楽単体のコンテンツでは出来ないことであると思うと面白い。

マリオなんかもタイムアップが迫るとBGMで焦らせてくるし、やはりゲーム音楽でしか出来ない演出だと思う。それを、ステータス異常なんかの演出として使うのは、3Dアクションで物凄い効果的なものであると感じた。

北川
雪だるまになる攻撃を受けたらプレイヤーは何も出来なくなります。つまりプレイヤーはもどかしい状況になるわけです!それを表現する為雪だるまにされた時BGMのピッチをがくーんと下げることにより更にもどかしくなる!早くこの状況を打破したい!と思わせることでユーザーさんのボタン連打を促しているワケです!

アナログレコードのピッチを上げているような演出が用いられていることに驚き。いや、ほんとはプレイ中に気付くべきところなんだろうけど、自然な演出だったからこそゲームに没入してて気づかなかったのかも。
またこれが、

オーケストラでは何がなんだかよく分からない表現になるはずです。

という話にも納得。
テクノ・トランス調だからこそできる演出、というのはひとつの気づきだった。


低音カットというフィルター演出
あとはゲームの中で建造物を作成する場面があるんだけど、建造し始めたときに低音が切られるフィルターがMAXでかかって、建造物の完成に合わせてフィルターが元に戻る演出もされてたり。これ、クラブでよく聞く演出!

北川
BGMを丸ごとそのままフィルター(特定の音域をカットするモノ)に通したり、エフェクター(音声に対して効果を与え変化させるモノ)に通したりする演出もめちゃめちゃしてますね。
例えば、データポストを立て始めると、BGMの低音がズバッとカットされて段階を経て立っていくのに連動して、BGMの低音がだんだん復帰するという仕掛けを入れております。

これはやっぱり、一旦切れた低音がまた100%に戻ることでの気持ちの盛り上がりがすごい。一般的な音楽で言えば、サビに向けて(サビのタイミングで)どんどん音数が増えていったりすることがあるけど、エクストルーパーズではそれをプレイヤーが自分で操作出来ている、ってことになる。
これがまさにインタラクティブ(双方向、相互作用)な音楽だし、音楽を聞くだけで終わらないというのがゲームにしかできない体験だと思う。

DJに当てはめると、この音域のカットはエフェクターのつまみを回しているのが浮かぶ。つまり、ゲーム内でDJの演出を疑似的に体験出来ちゃっている。そしてこの演出は、DJ中に効果的に用いることで曲の盛り上がりを増長させることが出来るもの。

それをプレイヤーが操れるのだから、BGMのはずがプレイヤー主体的な音楽に成り代わっていて、没入感が増すのだと考えた。もはや、プレイヤーが聞く側でもあるけど、聞かせる側でもあるんだなって思った。

ゲーム音楽はゲームの中に用いられているからゲーム音楽っていうカテゴライズされているところがあると思うんだけど、聞く側はじゃあゲーム音楽かそうじゃないかで盛り上がったり感情が揺さぶられる体験のポイントが変わるかと言うとそんなことはないと思う。
だからこそ、DJで用いられている演出方法もゲーム音楽にもそのまま当てはまるし、盛り上がり方も当てはまる。そして制作されている方がそこまで考えているというのは、圧倒的なこだわりを感じる。


細部に宿る音楽へのこだわりと制作の裏側

ゲーム内での音楽に対する「遊び」
ゲーム内のジュークボックス(BGMを再生できるギャラリー)において、ハイパスフィルターとローパスフィルターが使える隠し要素があるという…。気づかなかった…。

スプラトゥーンのマッチング待ち画面でもこういうエフェクトかけられた、いわゆる「遊び」があったと思うんだけど、こういった遊びをゲームの中に入れるって相当音楽に対するこだわり、自信の結果だと思う。
(マッチング待ちの場面で、スティック動かすとエフェクトかかったはず)
事実スプラトゥーンも音楽の評価高いし、楽曲だけじゃなく演出としても、意識しなくても相当凝っているのがわかるし。オクト・エキスパンションはVaporwaveを意識してるなんて記事があったりしたね。


サウンド制作の裏側!
そしてロケに出てのサウンドの検証面白かった!
リアリティを追求するってこういう風にやってるんだと思うと、ゲームのサウンドを作るのってめちゃくちゃ面白そうだなあ~それを職業にしてる人はいいなあ~ってどうしても思ってしまうね…。羨ましい!



音楽、セリフ、ゲームプレイそれぞれを生かす演出による盛り上がりの相乗効果

インタビュー第3段のこの部分。

北川 
まず『解放レゾナンス』ですが、Popsとかに比べるとちょっと特殊な構成なのですが、基本的にサビとCメロにしか歌が入っていません。
これは、曲の使いどころが戦闘シーンなのですが、最初のほうは台詞の応酬なんですよね。なので、歌が最初から入ってるとちょっと邪魔になったりするんです。もちろん、全然ナシという訳ではではないんですが、大切な仲間と戦う重要なシーンですので、ここはしっかり台詞を聴かせようと。

もう本当にこれ。本当にこれ。
このシーンを覚えているからこそ、このnoteを書こうと思った。
具体的には「閃光のハニーバニー」というクエストの中で、端的に言えば暴走した仲間を戦って止めなければいけない熱いミッション。ストーリー的にもかなり滾るところ。

このミッション、仲間との戦闘中に流れるBGMが「解放レゾナンス」。
この曲って、四つ打ちなんだけどかなりベースが強くて、低音バリバリな感じのめちゃくちゃかっこいい曲。ただし、その曲調が1分ちょっと続いた後、早見沙織さんの歌が入ってくる。サビで透き通るような女性ボーカルが入ってくる、かなりドラマチックな展開の曲。

確かに前半1分くらいはセリフの応酬で、しかもプレイヤーの心情的には、仲間の戦うので「戸惑い」って気持ちが大きかった。でも、キャラクターのセリフと、低音の強い音楽で「とにかく戦わなきゃ!」って気分にさせられる。
そして戦闘が進んだところで、仲間の辛さとか苦しみに関するセリフが出てくるし、戦闘もより苛烈になってくる。
そして、そのタイミングで、曲が低音主役だったパートから歌が主役になるパートに移行する。この瞬間の解放感。ほんと、1分間の「溜め」があったからこその、歌が入ってきたときの爆発的な解放感。
もちろんそれまでも「歌が入っていなかったので」セリフはずっと綺麗に聞こえていたんだけど、「歌が入ってきたパートは」低音が薄くなったことでここでもクリアにキャラクターのセリフが聞こえたんだよね。しかも、状況説明っていうよりはキャラの熱い気持ちが言葉として発されているようなセリフだから、ここでのセリフ一言の重さ、厚みがどっと強くなる。
この曲調の落差で、一気にセリフと物語への感情移入しちゃって、ゲームに引き込まれた記憶が、プレイから約4年経ってもずっと残ってる。

2016年初プレイ時のツイート


ボイスと歌もののぴったりしたタイミングとその気持ちよさ。セリフで感情をためてためて一気にサビで音楽全力ってほんとにかっこいい。そして、結構しっかりセリフの掛け合いしてるはずなのに、音楽と戦闘がお互いに邪魔してない。本当に凄い。

映画とかアニメとかって、物語のピークで音楽が一番盛り上がるような形に調整されていて、きっとコンマ数秒の単位で演出が計算されていると思う。
ゲームも例えばムービーシーンなんかの演出はそうだと思う。
ただ今回のこのシーンなんかは、曲の変化するタイミング=一番盛り上がるタイミングのときにプレイヤーがどんな行動をしているか様々。

プレイヤーが物語を作っているような状態だから、余裕で戦ってるか、苦戦しているかも様々なはずだし、そこの計算は難しいと思う。
でも、それでも自分がプレイした時はもう、歌が流れ始めたときの「うおおおお!!」っていう鳥肌が立つような感覚が凄かった。
それはもう、物語を聞いているというより、物語を自分も主体的に作り上げているという感覚になっていたからこその体験だったと思う。

仮に音楽が無かったら単調なイベントになっていただろうし、エクストルーパーズの音楽の凄さを一番実感したシーンだった。



CAPCOM公式インタビュー第4弾より

クラブイベント…ぜひお願いします…!!!




音楽”愛”を感じる周年企画

そして音楽愛を感じるのは、このゲームが発売されて1周年、2周年、企画として音源のプレゼント、そして3周年には全楽曲配信+アレンジ・オリジナルEP配信。

そんなゲームある…? ソシャゲとかMMOとかならわかるけど、パッケージ売り切りのゲームでこれって凄いことだし、3年経って全曲配信&新規EP配信って、熱量をすごく感じる。
そしてこの新規EPがまたかっこいい…。特にAll Over the Baseが大好き。解放レゾナンス The Soarもめちゃくちゃ聞いてる。

俺はゲームのニーアシリーズが好きだから、色々配信とか追ってると(冗談交じりだけど)「発売から時間が経ったから広告費がもう無い」みたいな話を聞くから…。
こういう風に、発売されてから新規での活動があるのは特別感があるし、ファンにとってはこれ以上に嬉しいことってないよね。それだけ音楽の評判が良いってことだと思うし。



終わりに

クラブ等で「良い音楽のゲーム」を聞かれると、まず挙げるのがエクストルーパーズ。クラブミュージック好きならきっと刺さるサウンドだと思うし。

Spotifyで初期サントラ全曲聞けます!!


ゲーム音楽のインタラクティブ性と、それを意識したBGM、演出って、全てが合わさるとこんなにかっこいいんだなというゲームです。もちろん、熱意をもって作られているからこそ、音楽単体で聞いてもめちゃくちゃかっこいいです。

カプコンサウンドクリエイターさんの姿勢がかっこいい


ゲーム自体はPS3または3DSでプレイ可能。どちらのハードも徐々に見かけなくなってきているのが苦しいところ…まだ実機があるという方は今のうちにプレイおすすめです!

もちろんプレイ動画とかもあると思うんだけど、なんていうかこのインタラクティブなサウンドは自分でプレイするからこそ最大の魅力を体感できると思うのでぜひ!


しかも今(2020/5/3時点)で3DS版セール中!(なんと75%オフの760円)
GW中にぜひ体験を!


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