菅野静香さんの個展『にげみず』を観た(2018/8/25)
「夏」と言って先ず連想するものって何だろう。と考えると海とかスイカとか風鈴とかの映像が頭に浮かぶけれど、今回展示されていた作品は、そういう分かりやすいモチーフを出さずとも、夏だった。
菅野静香さんの作品は2年程前に拝見した『蟹と胡桃』という個展以来機会が合わず観る事が出来なかったけれど、その時描いていた女性は、何人かは別の動物の成り代わりっぽさのある作品もあったけれど、確実に生きた女性の目をしていた。
しかし今回の個展で展示されている作品で描き出されている女性からは少し、恐怖を感じた。喜怒哀楽を感じないむすっとした表情で、人間を飛び越えた存在で、触れようとすれば消えてしまうようなものにも見えた。
この展示は女性を描きたいのではなく、姿としてとらえどころの無い夏の始まりから終わりの激しい気候の変化によって起こる現象を、女性を用いて具現化させている様に感じた。嵐の前の静けさと、嵐が過ぎ去った後の空っぽな感覚を切り取った様な作品だった。
特に『鴉』という作品が一際異彩を放っていて、蝉の羽をくわえた女性が周りの空気をこわばらせていて、これ、絶対に目を合わせてしまったら最後、確実に殺されるんだろうなあ。と思った。確実に食物連鎖の最上位。
会場:あらかわ画廊
期間:2018年8月21日~9月1日
入場料:無料
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