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アートとファブと福祉と。

奈良県の香芝市にあるGood Job! Center KASHIBA(グッジョブセンター香芝)へ単独で行ってまいりました。

Good Job! Centerは、障害のある人とともに、アート・デザイン・ビジネスの分野をこえ、社会に新しい仕事をつくりだすことをめざしています。一人ひとりの表現の豊かさのように、はたらき方もまた多様であるはずです。個人、企業、地域の垣根をこえ、だれもが能力を発揮できる社会の実現に向けて、さらなる提案・実践を展開していきます。
施設のウェブサイトより引用

グッジョブセンター香芝は、XSCHOOL2019の時にファブや、福祉といった文脈を探索している時に、ディレクターの方に教えて頂き、それ以来ずっと行きたかった場所。TONKAN terraceとも実は親戚みたいな感じ。(勝手に僕がそう思っているだけ)

やっと行ける!!

遠足気分でテンションが上がり過ぎたため、予約していた13:00〜の見学時間より2時間半も前に現地に到着してしまい、とりあえず僕のいつものパターンで周辺地域をぶらぶら散歩しました。(周辺地域探索大好き)

駅と反対側に15分ほど歩いた先には、春になったら桜が満開になりそうな小川を見つけたり、

すがる橋からの写真(施設からは結構歩く、近くにコメダ珈琲もあるよ)

施設の近くには小学校があったり、DIY好きなら誰しもが好きなコーナンPROがあったりと、暮らしやすい場所だな〜ということをぼんやりと認識しながら、12時頃にグッジョブセンター香芝へゆるっとイン。

Good Job! Center KASHIBAの入口

まずお昼ご飯を食べるため、入ってすぐ右側にあるカフェスペースにて、店内を眺めながらホットドックを頂きました。

ホットドックとポテトのセット(左)と、ここで作られている「はりこ」のグッドドッグ(右)

そして食べ終わった頃には、13:00ちょっと前になったので、見学開始。

見学開始

まずは施設の説明や、施設ができるずっと前の1970年頃からの活動内容を説明して頂きました。障がいのある子供を持つ親グループが当時新聞記者だった代表の方と出会った経緯や、福祉をストレートに発信するのではなく1975年頃のフォークソングブームに乗っかり、福祉の歌を作って発信し、これまで40数年間毎年音楽会「わたぼうし音楽会」を開催し続けてきている話など、順序立てて丁寧に説明して頂きました。

説明していただいている時の様子

一通り説明をしていただいたき、文化や空気感のイメージができたところでさっそく施設内の案内をして頂きました。

施設内の壁にはもれなく絵画
階段の壁にも絵画

まず目に飛び込んでくるのは、施設内の至る壁に掛けてある絵画達

施設で働く方々が書いたアート作品で、個性が出ていて良い作品ばかり。実際に販売もしており、就労支援施設としての収益となったり、描いた本人にもしっかり還元される仕組みになっているとのことでした。

就労支援施設で働く障がいを持つ方の平均月収

グッジョブセンター香芝のサイトから引用

就労支援施設で働く方の給与っていくらくらいか知ってますか?
僕自身、就労支援施設で働く障がいのある方々の平均月収が一般的な労働者よりも低いということはなんとなく知っていたのですが、初めて正確な金額を聞き、そんなにも低いということは初めて知りました。

このような課題に対して、グッジョブセンター香芝では「障がいのある方々の能力を最大限引き出し、それをしっかりとお金に換える。」ことをアートやファブやデザインやネットワークをフル活用しながら取り組んでいる。

というのが、一通り整理した段階での僕の解釈です。

3Dプリンターの福祉的有効活用

絵画の次に目に飛び込んできたのが、僕の得意分野でもある3Dプリンター

施設内には合計7台ほどの3Dプリンターがありました。

3Dプリンターがどういう使われ方をされているのかと言いますと、先ほども登場したグッドドッグのような、はりこ(張り子)のベースを作っているのです。

グッドドッグのベースが4つ、造形完了している状態(一番右の3Dプリンター)

本来張り子は、木から削り出して作ったり、粘土で形作った「ベース」に紙を貼り付けていくらしいのですが、障がいのある方にとってこのベースを一定の品質で作ることが難しかったりもします。その工程に3Dプリンターを取り入れたことで、苦手な工程を省き、かつ安定した形状・品質を担保することを可能にしています。

3Dプリンター製のベースに和紙を貼っている様子
色を塗る前の下地塗り作業の様子

その後、和紙や新聞を貼っていき、色を塗り、はりこが完成。

色を塗るのは手作業なので、同じ柄でも唯一無二の張り子になっています。どれも表情が違っていて、どれも可愛い!

グッドドッグ以外にもたくさんのはりこシリーズがあります。

無印良品や神奈川県の鎌倉にある会社など、全国からオリジナル張り子製作の依頼があったりと、まさに「仕事」が作られている。ことがわかりました。

無印良品の福缶で、虎のはりこを3500個量産した話と共に。


全国の就労支援施設の作品の販売支援

グッジョブセンター香芝の2階には、写真の画角に収まりきれないほどの商品が陳列されていました。
これらの作品は、全国の就労支援施設で作られた商品で、商品を作ることはできても、その後の「見せ方や売り方」が得意ではない。という悩みを引き受けて、グッジョブセンター香芝が販売しています。

たくさんの商品達、どれも個性的
レジ袋とプチプチをアイロンで張り合わせたシート。結構凄いアップサイクル!


2階からの風景・建築的にも面白い建物。
施設内は全て同じ空間で、絶妙に配置された壁により人の存在を感じつつも、孤立できる環境


Good Job! Center KASHIBA 【STUDIO】

一旦外に出て、道沿いに1分ほど歩いたところにある、はなれ。
そちらは、作業場ではなくアトリエとして、黙々と創作活動を行う空間でした。

アトリエ内の様子。各々が好きなことに没頭中。
凄く細かい線画の絵(黒い丸はよく見ると全て蟻)

自分の絵を見てくれ!と言わんばかりに無言で紙を持ってきてアピールしてくる方や、電車を擬人化している方、最近自分の中でブームになっているらしいウルトラマンの立体絵画を描いている方など、ほんと個性豊かで自分の中に秘める内なるものをアートを通して表現しているかの如く、各々の創作活動に没頭していました。

グッドドッグの絵と、3Dペンで作った帽子の作品
はなれにあるグッジョブセンター香芝【STUDIO】の外観


TONKAN terraceのことも知ってもらえた。

見学終了後、雑談ベースでお互いの考えや取り組み内容など、いろんなことを共有させて頂きました。

実はお互いプレシャスプラスチックの取り組みをやろうとしていたり、3Dプリンターが緊急時にインフラとして機能するという分散製造的な文脈だったり、ものづくりに触れることの重要性を感じていたりと、思いや考えに共通点も多く、全然話足りずに、この後飲みに行って語り合いましょう!と冗談で言ってしまったくらいで、とても楽しい時間でした。

そして何より、トンカンテラスのことを知ってもらえて、今後一緒に何かを生み出せそうな予感がしたことが大きな収穫でした。

ソーシャル的な問題に取り組むことがなぜこんなに僕に幸福感をもたらすのか。ふとそんなことを感じながら、グッジョブセンター香芝を後にしたのでした。

案内してくださった小林さんと共に。




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