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LIFEBOOK UH Keyboardレビュー:プロダクトとしてはいいモノだがまだ荒いところもある

※当記事はLIFEBOOK UH Keyboard+iPadで執筆しました。

みなさまこんにちは、以前Engadgetでライターをやってたナカヤマと申します。
皆さんご存知の通りEngadget日本版が2022年4月に閉鎖となりました。それについて色々思うところはあるのですが、今回の本題から逸れるので詳しくは以前のエントリをご覧ください。

4月の下旬、Engadgetが終了する直前にお別れ会なるものが開催されましたのですが、そこでなんとEngadgetの矢崎編集長からサプライズで卒業祝い(おそらく大学とEngadgetのダブルミーニング)のプレゼントを頂きました!

頂いたのは富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のLIFEBOOK UH Keyboard。矢崎さんが携わっているもので、以前クラウドファンディングを実施して無事製品化されたワイヤレスキーボードです。
というわけで、ウキウキでLIFEBOOK UH Keyboardを数週間使い込みましたので簡単にレビューしていきます。

※普通のレビューはすでに皆さんなされてるので、ここではニッチでディープな話をします。

開封してわかる「いいモノ」感

開封していきなりやられました。箱がノートパソコンをイメージした作りになってるのです。
本製品は「LIFEBOOK UH(ノートパソコン)のキーボードがそのままワイヤレス化した」ことがコンセプトになっています。箱を開けてキーボードを取り出す様はまさにノートパソコンのキーボードだけが取れちゃった体験そのもの。演出がニクい!

そして手に取ったときにまず感じるのが軽さ。アルミのひんやりとした高級感はあるのにめちゃめちゃ軽いのです。脳がバグります。
たわみはなくガッチリとしていて、「これはいいやつだ」感がすごいです(笑)

iPadでJIS配列に対応している事に感謝

LIFEBOOK UH Keyboardは数少ないiOS端末でJIS配列に対応したワイヤレスキーボードです。

ここからは私の考えになります。読み飛ばしても構いません。
このクラスのワイヤレスキーボードを購入しようとする人たちは活字入力の頻度が高い層だと思うのです。たくさん文字を打つ人はRealforceやHHKBのようなスコスコと打てるキーボードを買う人が多いと思いますが、これらは価格帯的にも物理的にも非常にヘヴィーです。
一方で、RealforceやHHKBは使わずにノートパソコンのキーボードを使う人も多くいるはず。これらの人がノートパソコンをクラムシェルモードで使うときや、外出時にタブレットやスマホだけで出かけたいときに外付けキーボードが必要になるわけですが、文字打ちで違うキーボードを使うと違和感がMaxでちょっと嫌なんですね。だから数千円のやっすいペラペラのキーボードは嫌だし、iPadのMagic Keyboardも微妙なんです。Smart Keyboard Folioなんて打鍵感もぜんぜん違うので僕的には純正といえどもナシです。(高いし)

「できるだけ普段使ってるパソコンと同じワイヤレスキーボードを」と考えるとMac使いはMac用Magic Keyboardに、Windows使いはMicrosoftのDesigner Keyboard Compact(Surfaceとほぼ同じ配列、打鍵感)とかLenovoのポッチがついたやつとかになります。

しかし、これらの機種には問題があります。Mac用Magic KeyboardはApple純正なのでほぼ問題はないですが、マルチペアリングができないのでMac↔iPad/iPhoneで使うときはいちいち接続を切り替えないといけないし、Windows系のキーボードはiOSの問題でJIS配列のキーボードがUS配列に認識されるのでアルファベットの右側のキーが変になります。
Androidであればこの問題はないのですが、Androidタブレットは絶滅危惧種。やっぱりiPadで快適に使いたいですよね。

MicrosoftのDesigner Keyboard Compactと比較

しかし、LIFEBOOK UH Keyboardは配列こそWindows向けですが、iOS用/Mac用の入力モードが用意されています!

これが本当に快適で、iPadで文字打ちを快適にしたいと思ってた僕に取ってはまさに僥倖。Microsoft Designer Keyboard Compactの不満が解消されて大満足、これだけで買いだといいたいですね。
もちろん配列がWindows向けなのでキーボードショートカット等はクセがあります。そこに関しては少しずつ勉強していこうかなと思っています。


サイドだけでなく正面も光る!

他にも、
・3台までのマルチペアリング対応
・USB-Cの充電、USB-Cで有線化ができる
・3段階のバックライト付き
といった良さもあります。あと、個人的にはサイドを覗き込まなくてもキーボード面だけで情報がわかるような作りは天才だと思います。これぞものづくり……!


初発のプロダクトらしい荒削りなところも

LIFEBOOK UH Keyboardはクラウドファンディング初なのでもちろん気になる点もいくつかあります。次回作への期待も込めて、気になる点を列挙していきます。

1:Android非対応
多くの人がレビューで指摘されていますように、Androidで入力不可です。入力が変になるのではなくそもそも入力ができません。特にGalaxyのFoldとか、Galaxy Tabが今盛り上がりつつあって、それらで文字入力したいという需要は(iPadほどではないにしろ)今後出てくると思うのでAndroidでも使えるとすごく良くなると思います。

2:iPadとトラックパットの相性が悪い

LIFEBOOK UH Keyboardにはトラックパッドがあるのですが、iPadでトラックパットを使うのが少し大変です。iPadでトラックパッドのマウス機能を使う際はAssistiveTouchをオンにする必要があり、キーボード非接続時はAssistiveTouchいらない派のワタシ的にはちょい辛い仕様です。あと、現状iPadでスクロールもできません。

ちなみにMagic KeyboardやDesigner Keyboard Compactはピッタリです

また、トラックパットがあることで本体の縦のサイズが伸びるので新幹線や飛行機のデスクに収まらず、非常に辛い。手首の置き場に困るので「トラックパッドない方がいいな」と感じました。
ただ、これはタッチパネルがあるiPadで使った時の感想なのでそこにご留意ください。Windowsで使う分には(クリックボタンが小さいけど)まぁまぁ快適です。

3:iPadとの互換性
人間とは欲深いもので、JIS配列が認識できるとなると他の便利機能も欲しくなります。

例えば、iPadで「Half/Full(いわゆる全角/半角)」「Kata/Hira(いわゆるカタカナ/ひらがな)」キーを押すとCaps Lockがかかる仕様になってますが、これがIME切り替えになったり(追記:修飾キー設定でできるとのことですが私の環境では反応しませんでした)、Macみたいに2回押しで入力中の文字が日本語ローマ字に切り替わるみたいな機能があったら便利かな〜とか思います。(難しいとは思いますが…)

4:Fnキー使うか?問題

キーボードにバックライトがあるのは嬉しいですが、その起動(Fn+Space)があまり直感的じゃないと感じました。LIFEBOOK UH KeyboardはF2、F5、F11、F12が空いてるのでそこに入るとよかったかなと思います。
あと、LIFEBOOK UH KeyboardのFキーはデフォがFキーとなっており、バックライト調整や音量調整などのショートカットはFn+Fキーとなります。個人的にはFキーは使わないので、Mac含めて多くのノートパソコン同様に逆の仕様(Fキーを使うときはFn+Fキーで、ショートカットを使うときはそのまま)のほうが良かったかなと思います。


モノはいい!けどあともう少し…

僕はノートパソコンはパソコンのキーボードを使えばいいと思っているので、ワイヤレスキーボードには「iPadでいかに快適に使えるか」を求めています。可搬性が良くていろんな端末に繋げられるワイヤレスキーボードは、iPadだけでカジュアルなノマドワークに使うことが最も多いからです。

LIFEBOOK UH Keyboardはプロダクトとしては質実剛健で意欲的で魅力的だと思います。キーボードの打ち心地も非常に快適です。一方で、iPadで使うことを考えると(JIS配列対応は神ですが)あと一歩の歯がゆさを感じます。特にトラックパッド周りが痛い!

LIFEBOOK UH Keyboardはクラウドファンディングでできた製品で、私自身クラファン商品を使うのは初めて(厳密にはREON Pocket 2を持ってるけどあれは第2世代なのでノーカン!)でしたがすごくできが良くて驚きました。これからのアーリーアダプターな出資者からのフィードバックをもとに、更に魅力的な製品づくりをしてくれることに期待しています。

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