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3月のカレンダーを麺棒で引き延ばして、3月が永遠に続いたらいいのに

 4月から私は社会人になる。

 学校があまり好きではなかったので、小学生のころは、早く大人になりたいと思っていた。

 しかし、4月から社会人となると、猛烈にイヤだ。3月のカレンダーを麺棒で引き延ばして3月が永遠に続いたらいいのに。ついこの間までは、缶詰の賞味期限に2023年と印字されていると、先のことすぎてフィクションだと思っていた。いざ学生が終わるとなると、良かった思い出ばかりが頭にめぐり、中学…高校のころは良かったとセルフ懐古厨になっている。


 桜は咲き、なんなら散り始めた。どうやら4月は現実味を帯びて如実に迫ってきているらしい。それなら、回顧していても仕方がない。社会人のギアに変えるために、自分があれほど憧れていた社会人になってよさそうなことについて書き出してみることにした。



1.       大縄跳び(8の字跳び)がない。

※比較的どこでもできる上に、5分さえあれば始められるという恐ろしいほどインスタントな競技。小学校で、授業の1年間くらい大縄跳びに当てられていたといっても過言ではない。縄の回し手は2人。それ以外の全員が1人ずつ跳び、時間内で何回跳べたかを競うというもの。全員で回数を数えるときに「97、98、99、100! 1、2…」と大台に乗っても101からではなく1から数え始めるのがルールになっていた。当時、100や200といったキリのいい数字に達成しても、ふりだしに戻り縄跳びが続行されるのは、人生にゴールがないことを宣告されているようでイヤだった。

2.       ドッジボールがない。

※ドッジボールは、授業時間が余る・校庭や体育館に空きがある・何かしらのレクによって突発的に発生するイベントである。経験上、10分以上時間に余裕があるときに始まることが多い。神出鬼没。


3.       プールがない。

※高校からはプールのない学校を選んだため、すでに解放されている。小学生のとき、秋を過ぎたころに、お風呂で来年もプールの授業がやってくることを毎日のように思い出し、ブルーになっていた。ちなみにプールが嫌だった理由の1位は水温が低過ぎるから。


4.       5時間目に体育がない。

※昼休み中、体操着に着替えたクラスメイトが1人でも現れると、周囲は一気に体育のムードに切り替わる。更衣室に向かう人が徐々に増え、まだ昼休みなのに早く食べ終わることを余儀なくされる。早く食べた結果、胃がもたれ、若干気持ち悪いまま体育をやり過ごすことになる。5時間目に体育がないことは、このような昼休みから始まる憂鬱を含めた解放を意味する。


5.       10分休みや昼休みを返上して倉庫からボールやゼッケンを出すというサービス残業ならぬサービス体育もやらなくて済む。


6.       衝撃的というか、前に誰かが着ていた臭激的(そんな言葉はない)なゼッケンを着なくて済む。


7.       「連帯責任」を理由に校庭を走らされることがない。


8.       そもそも体育がない。

※体育の必修がない大学を選んだため、解放済。


9.       校庭での招集がないため、土の上に体育座りしなくていい


10.    それに伴い、土の上に荷物を置かなくていい


11.    そもそも体育座りを強制されることがない


12.    朝礼や学年集会の後、担任の先生が来るまでの手持ち無沙汰な時間がない


13.    定期試験がない


14.    給食当番がない。

※終盤でごはんやおかずが足りなくなる配分ミスがなくなる。よそい終わったクラスメイトに少しずつ恵んでもらいにいくとき、自分の非力さを感じて涙目になった。


15.    数学がない。


16.    気温に合った服装を自分で決められる。

※高校生の頃、冬の寒いなか制服のスカートを履くのが本当にイヤだった。あまりにイヤなので靴下を履くのに5分以上かかり、半ばヤケになりいつもより大幅に遅く出かけたことがある。遅刻したことがなかったので、ちょっとした不良行為に内心ワクワクしていたが、電車が遅延していたため遅刻にならなかった。そのとき、自分には不良の素質がないと悟った。


17.    自分で自分の居場所を決められる。


18.    周りが全員大人。

 17、18以外はほとんど学校あるあるになっている。寒さと体育がとにかくイヤだということが分かった。この2つからの解放は個人的にかなり大きなものなので、社会人もさほど悪くないと思うようにしておこう。

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