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アイテム:古いカメラ

一体いままでどうやって仲間に会っていたのか、
一体いままでどうやって話していたのか、
一体いままでどうやって笑っていたのか、
ゆうしゃには思い出せなくなっていた。

なにか、なにか、うまく会う口実が欲しくて、
そんなことを思える並みにはプライドがあることに苦笑いしつつ
ゆうしゃは必死にポーチを漁る

なにか、なにか、あってはくれないか
大切なものの、奥底、冷え切ったそれは小さく光る

≪アイテム:古いカメラ≫

ああ、思えば小さいときから大好きだった。
自分が撮るのだと、身の丈に合わない長い首紐をぶら下げて。
そんな少女が貯金をためていつか買った、あのカメラ。
初めての、自分の、大切な、カメラだった。

自分にも、好きだったことが、あった。

データを見返す。

そこには、私が残したいと思った景色たちが残されていた。
好きな場所、感動した風景、旅の思い出。

景色、そう、景色だけ。

思い出す。

私は一人でここにいたわけではない。そこには誰かがいて、
楽しかったんだ、こんなことがあって、あんな思いをして…

ああ、その時のあの人の笑った顔が今見られたなら

そうか、

これから、撮りに行こう
これは、好きなことを取り戻す旅であり、
新たな挑戦であり、そして会うための立派な口実。
今は、今は、それでいい。
進むに、生きるに値する、十分な理由ができた。

握りしめたカメラはもう、冷たくはなかった。

ーーー

カメラを再起動させたときの拙い記憶。
本当に、うまく話せも笑いもできない気がして、そして多分、深い話になると自分の話をしなくちゃいけなくなりそうで、怖かったんでしょうね。
うまく人に会う口実を探していた時に、カメラちゃんと再会しました。
とにかく撮ろうと必死だった頃で、たくさんのこころ優しい友人たちを巻き込みました。謝罪と感謝でいっぱいです、本当に。
でも、確かに私に、気力というものをくれた、「大切なアイテム」です。

ーーー

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