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「詩 その他」から分離して、詩のテクスト情報を掲載します。
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2023年11月の記事一覧

冬の隅っこ

冬の隅っこ

雨が降るたびに寒くなりある日冬が到来した。冬はカモミールの香りがして私は小さな咳を溢した。点線で繋がれた曇り空をなぞると、綻びからすぐにでも夜空が出てきそうだ。呪ったり呪われたりしながら少女達は走って行く。そうしていくつもの血液が枯れて行き君は生きて行くだろう。

生きることは恐ろしい孤独から孤独へ吸い込まれて行くようだ。水槽にいる生物を根こそぎ食べてしまっても空腹は治らない。君は怒りながら生きて

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何処かの戦場

何処かの戦場

ガラクタを積み上げて
 遠くの海へ鼓動を投げた
  どこか遠くの戦争へ向けて
何も出来ない私は投げた

テンポは遅く、日常は溶けてしまいそうだ
雨の日の明け方
コーヒーを淹れて尋ねる
私は平和だろうか?

色々な銃火器があり、
 様々な兵器があり
  それら暴力を集めるのが好きな人がいる
安い日常の雨の中
 去勢された暴力がムクムクと目覚めて
  電車に乗り、ガタンゴトン
学校へ歩いてゆく。

スズムシ

スズムシ

感傷を嫌う君が夕暮れに黄昏れる時、
欺瞞や身勝手さが鮮血のように滲む。
白鷺は私達を警戒しながら虫を食べて、
秋に仮装する人々に君の苛立ちは育つ。
自由を愛するなら公平を憎むべきだ、
愛はいつだって身勝手なものなのだから。
身を震わせて鳴いてみればわかる
高揚に靡かず毎日震えていれば、
いつか歌になれる。
だが書かれた言葉はいつか消失する、
絶望に耐えられない祈りは宙吊りにされて
残るのは簡素な足

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