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yuka~困惑の告白。~

yukaがオレに対して「告白なのか分からない言葉」を電話で告げられた。

「ゆうきが私の事を想っている何百倍プラスアルファよりも、私のほうが想っている。」
どういう事=答えをyukaは言いたかったんだろう。
この時、高校3年のオレにすれば、これはyukaの告白でいいのかどうか
さえも分かりませんでした。
そして、森さんの行動(オレが森さんに好きだと言ったという「嘘」)も
あって、ますます事実は分からず・・・。

しかし、この事で自分の腹は決まった。
「明日、必ずyukaの目の前でオレは告白する」という事を。

次の日。
授業が終わって、いつものように文化祭の準備に。
文化祭開催もあと一週間後。
建築科の各グループが追い込みを掛けている中で、オレはその事
すら頭になく、ただ今日のyukaへの告白だけを考えていました。

yukaはいつも通り製図室で一人、パース絵の仕上げに入っていました。

オレが製図室に入ると、yukaは「おー」と少しはにかんだ笑顔で迎える。
オレも「おー」と、いつものようにyukaに挨拶を交わす。

そして二人の話題は、昨日の「森さんの行動」になった。

yukaは「私は言いたくない事なんやけど、確かに森さんはアンタから
好きだと言われたって言ってたんやけど・・・。」と。

昨晩の電話口では、yukaはオレの事を「ゆうき」と呼んでいた。
しかし、顔を見合わせて話すと、いつもの「アンタ」に戻っていました。

オレはyukaに、昨日の夕方。森さんに引き止められて話をしながら帰った
事を告げました。
けど、そこには森さんにオレが好きだと言う理由も全く無かった事も。

「んー・・・。勘違い・・・。なんかな?」とyukaはオレに問いかけ、
親友である森さん事を思い詰める顔をしていました。

そしてyukaは真っ赤な顔になり、目をオレに合わさず、こう聞きました。
「森さんの事はどう思ってるん?好きではないの?」と。
本来なら、ここでyukaに告白するチャンスかとも思いましたが、グッと
我慢して、
「オレは森さんの事は何も思ってへんよ」と。

そしてそのままのうつむき加減なyukaは、
「そっかぁ・・・。」と、静かに言葉を出しました。

オレは本当ならば、昨日のyukaが言っていた、
「ゆうきよりも何百倍ゆうきの事を想っているよ」という言葉の真相を
聞きたかった。
けれど、そんな事はどうでもいい。今はしっかりとyukaに好きだという
想いを告げるだけだ。に、変わっていたのです。

するとyukaは突然。明るい顔をパッとオレに向けて、
「じゃあ!2人だけしか知らない秘密の話をとりかえっこしよう!」と
言ってきたのです。

オレの気持ちはここしかない!
ここでyukaにちゃんと告げよう!
そう思いました。

まずはyukaから話し出す事に。

「実は中学校の時に好きだった人がいて」と話し始めたのです。
そしてその彼に想いを告げたけど叶わなかった。
そして。
その好きだった人が同じクラスにいるという・・・話でした。

これは・・・。これは・・・。これは・・・。

オレが今まさにyukaに告白しようとした時に、最悪な話。
確かに、今の自分であれば、
「そうかぁ。そういう事もあったんだなぁ」って、きちんと話が聞けて、
その上で自分の想いも伝えられたと思います。

しかし、この時はもう・・・。
そしてyukaから追い打ちを掛けるように。
「その人は◯◯くん。だったんだよ」と・・・。

まさか・・・。まさか・・・。まさか・・・。
今は偽名を使わず、伏せ字にしましたが、自分が想像し得なかった、
とんでもない名前が出てきて、もう戸惑いは最高点に。

そして、この時に初めて。
「嫉妬という中での煩悶」を経験したんです。
本当にオレは、
「うぅ・・・」という言葉しか出なかった。まさに煩悶した。

そして、オレがやっとの事で出した言葉が、
「オマエ・・・今・・・。それを・・・。言うかぁ・・・。」でした。

yukaは訳が分からない???と言った表情を見せて、
「どしたん?何があったん?」と真剣にオレに聞いてくる。

本当に分かってない。っていうのが、ますますオレが苦しめる。
「うーん。うーん。」としか言えない。

yukaはますます真剣になり、オレにどうしたのかと問いかけてくる。

そして、このオレにとっては最悪な状況・環境の中で、

「オレはその話の逆をyukaに言いたかったんや。」
「どういうこと?何を言いたかったの?」
「秘密の話やろ?」
「うん。だから今、ゆうきに秘密の話をしたよ?」
「その逆の話をしたかったんや。」
「え?どういうこと???」

「ええか。黙って聞いてくれ」
「うん・・・。」

「昨日はオレは森さんが好きだと言ったのは違う。」
「うん。」
「昨日聞いたのは、オマエが好きな人がいるかどうかを聞いた。」
「え?どういうこと?」
「つまり。森さんじゃなくて、オマエなんやオレの好きなのは。」

すると、突然口を押さえてyukaは震えだし、そのまま製図室から無言で
飛び出して行った。

本当に最悪だ。最悪の告白だ・・・。

当時のオレは、こんなに苦しい告白というのを経験していませんでした。

ゆうさん


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