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yuka~勘違いからの告白なのか?~

「ゆかー」
電話の声はyuka。
するとすぐさまyukaが弾んだ口調で、
「聞いたよー。森さんから!」と言った。

「あーそうなんかー。そうだったら早くワタシに言えば良かったのに!!」
「ふーん。それだったら相思相愛やん!これはワタシがいたからこその
関係になったなー!!ふふふ!!」と・・・。

何をyukaが言っているのか、さっぱり分からない・・・。
「yuka。オマエ何を言うてるん?」とオレが聞くと、

「もぉーーー。ワタシから言えることでないやん!もうゆうきから言わんと!」と。
この時「ゆうき」なんて呼び名をyukaが使ったのは初めてだった。

「いやいや。森さんがなんか言うたんか?」とオレが聞くと、
「ひゅーひゅー。今日、一緒に帰って、森さんに告白したんやろ?」と。

もう訳が全く分からない。
一緒に帰った事は事実だったとしても、告白なんかするわけがない。
オレはyukaに想いを告げようとしていて、今日yukaが休んで、それから、
森さんにyukaには好きな人がいるかどうか聞いて、それからそれから・・・。

オレの頭がぐるぐる回る。いつなぜオレが森さんに告白したというような
形になってしまったのか。
まさか・・・森さんが「嘘」を???いや、そんな事はない。
じゃあ、yukaの勝手な早とちりか?
そうだ!そうかもしれない!

こんな事を考えている間にも、yukaは「あーそうか。ふーん」を連発して
いて、yukaも喜んでいるようだった。

「おい!話ストップな!オレ、森さんに告白なんかしてないぞ!」と。
するとyukaは驚いた声で、
「えーーー!!ホント!?・・・・・・・・・・。それってホント?」と、
訝しげにオレに聞く。

「そうや!オレは一緒に帰ったことは認めるけれど、森さんに告白なんか
してへんし、どんな勘違いなんや!!」とyukaに詰め寄った。

「・・・・・・・けど。え・・・・・。そうなん?」と静かになったyukaが言う。
「うん。オレは森さんには何も言うてへん!」と。

「けど、好きな人いるかどうか聞いたんやろ?」とyukaが言ってきた。

「あ・・・。それはオマエ=yukaが好きな人がいるかどうか」を聞いたんだ。
と、その場で言いそうになった。

自分は電話口の告白なんかしたくない。
yukaにきちんと会って、想いを告げたい。

この気持ちは、yukaを好きだと思う決心以来、変わってなかったから、
オレは、その時に一瞬戸惑ったけれど、嘘をついた。

「好きな人がいるかどうかなんて、森さんに(は)聞いてないぞ。」と。

どうしようもない嘘だと分かっていたけれど、これだけはyukaからの
矢継ぎ早の質問には対応しきれない。そう思っての嘘だった。

yukaは、
「じゃあなんで森さん、あんな事言うたんやろ・・・。」と、戸惑って
しまって、あれだけ弾んだ声を出していたyukaが黙ってしまった。

オレは、
「なんかの勘違いだと思うわ。けど、森さんに違うなんて事を、
yukaから言うのは・・・」と、言おうとした時に、

「そんなんワタシと森さんの仲やん!ワタシはそんな事言えない!」
そしてyukaは、
「こうやって今日、ゆうきと話している事も内緒にしているし、
今までの事だって、ゆうきとは友達だと森さんには言ってきたし。」と。

友達。
オレとyuka。
一昨日の夕方。yukaに告白しようと思った2日後。
訳の分からない森さんの行動で、yukaから「友達」という言葉が出て、
オレはずしんと心が重くなってしまった。

「そうかぁ。」と、心を起ち上げてyukaに相槌を打つ。
すると、yukaは、
「んー。残念やったなぁ」と、独り言のように呟いた。

オレは、
「オレが森さんと付き合えば良かったんか?」と聞くと、
yukaは、
「それもあったけど、これで気分がすっきりするって思ってた」と。
オレは、
「何がyukaをすっきりさせる事があるんだ?」と聞いた。
するとyukaは・・・。

そう。この言葉は今でも覚えている。
yukaが言ったこの言葉。

「もし、ゆうきが森さんの事を好きだったら、今までのワタシの気持ちも
はっきりと言えると思ってた。
けど、言うね。
今までゆうきと2ヶ月前に出会って、話をして。
その中で、森さんが好きだと聞いて、そうなんだと思ってた。
もし、ゆうきが森さんの事を好きだと思う気持ちが100だとするなら、
ワタシのゆうきに対する気持ちは、その100倍のプラスアルファくらい
あるからな!」と。

yukaは口ごもることも惑うこともなく、一気にこの言葉をオレに言った。

ズシンと重かった心が、今度は泡の弾けたソーダ水みたいにポンポンと
弾けて、心臓の鼓動が物凄く速くなった。

yukaからの告白・・・。
告白なのか・・・?

するとyukaが、
「森さんのことを好きだと思ってたから、さっきまで考えて考えて、
ワタシもゆうきに言う言葉を探してた!けど、2回も言わないから!」
と、また弾んだ声で笑ってみせた。

もうここしかないのかもしれない。
オレがyukaに告白するのは、ここのチャンスしか無いのかもしれない。
オレは、yukaに。
「オレやって、yukaの想う気持ちは、他の人の何百倍もあるわ!」と。
すると、yukaは、偉ぶった言い方で、
「ふーん・・・。そんなん小さいわ。ワタシのほうが何百倍もあるわ!」と。
その言葉を言った瞬間に、
「はぁぁぁぁぁ・・・もうこんな事言ったの初めて。もうあっつい!」と、
大きなため息を付いて、今度は声が震えだしていた。

そこでオレも感情的な心がすっと消えて、
「オレも言いたい事があったけど、明日yukaに言うわ」と。
「うん。そうして。明日、会おうな。」とyuka。

森さんからの勘違い?からの、yukaから告白とも言える言葉。

オレは決めた。
そう、明日こそyukaに想いを告げようと。
その前のプレ告白に心が躍って、眠れない夜を過ごしました。

ゆうさん


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