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日本の中小企業は本当に多いのか?OECD統計調査から定量的に調べてみた

こんにちは。yup代表の阪井です。

先週採用ページを公開しました!

採用ページ作成にあたって、yupのミッションを新しく考えました。こちらです。

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この通り、yupは “スモールビジネス” の方を応援しています。

スモールビジネスに明確な定義はないのですが、企業の一形態で直訳すれば小さな規模のビジネスのことを指します。ざっくり、フリーランスのような個人事業主中小企業から成っている、と考えてもらえたらわかりやすいかなと思います。

今回は、中小企業について「日本の中小企業は本当に多いのか」というテーマで調べてみました。

■ 日本企業の99.7%は中小企業

日本には約360万社もの中小企業があります。一方大企業は約1万社です。

企業数・従業者数

出典:経済センサス基礎調査・活動調査(2016年)を基にyup作成

割合にすると、99.7%と日本企業における中小企業の割合は非常に大きいことがわかります。

すなわち日本の経済は中小企業によって支えられているのですが、一方で、「日本経済が成長しないのは、中小企業が多いから」という意見も聞きます。

そこで、

そもそも日本の中小企業が多いというのは本当なの?
世界的に見てもそうなの?

というテーマでOECDの統計調査をもとに定量的に調べてみました。

■ 日本の中小企業は本当に多いのか?

この「日本は中小企業が多い」ということ、確かに事実ではあるのですが
海外と比べてもそういえるのでしょうか?

これを明らかにするために、OECDの統計調査をもとに、国際的に日本の企業数がどの程度の規模なのかを見ていきたいと思います。

まず、図1と図2にOECD加盟各国の大企業数、中小企業数を示しました。

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図1■ OECD加盟各国の大企業数
(OECD統計データ より作成)


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図2■ OECD加盟各国の中小企業数
(OECD統計データ より作成)

いずれもアメリカが一番多く、日本も上位に位置しています。
G7各国も高水準です。

さて、各国の企業数が分かっても、それぞれの企業数が本当に多いのか、少ないのかいまいちわかりません。人口当たりの社数を見てみた方が、相対的な比較ができるのではないでしょうか。

・ 人口あたりに直してみる

同じくOECDから各国の人口を参照し、上記の大企業数、中小企業数を人口で割ってみました。その結果が図3、図4です。

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図3■ OECD加盟各国の人口100万人あたりの大企業数
(OECD統計データ より作成)


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図4■ OECD加盟各国の人口100万人あたりの大企業数
(OECD統計データ より作成)

人口の比率で考えると、大企業数、中小企業数ともに、アメリカ、日本を含むG7各国の水準は低いことがわかります。

面白い傾向として、人口あたりの大企業数は他のG7各国は少ないのに対し、例外として、ドイツは人口の多さを考慮してもなお多い大企業数を示しています。反対に、中小企業の人口比率ではイタリアが比較的高い水準に位置します。
ここから、ドイツは大企業に集約していき合理化を図っている姿が見えてきますし、イタリアは中小企業が乱立している状況がよくわかります。

以上のことから日本やアメリカは絶対数では多くの企業数を誇りますが、人口比率で考えれば必ずしも企業数は多くないという事がわかりました。

すなわち、少なくとも日本は他の先進国と比べて中小企業の数が多すぎる、というわけではなさそうです。

■ まとめ

昨今、中小企業が多すぎることが日本経済の足を引っ張っていると取り沙汰されることがあります。

しかし、他の先進国と比較してみると、決して多すぎるということではないということがわかりました。したがって、経済の停滞の根本原因は中小企業の数ではなさそうです。
ましてや中小企業を統廃合して淘汰していく事が、必ずしも日本経済復活の解決策になるわけではないように思えます。

今回改めて調べてみると、本当の問題は中小企業が多いことではなく、中小企業が生産性上げづらい状況にあるような気がしました。また時間がある時に、この辺りも定量的に検証していきたいと思います。

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