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朝井リョウさん『死にがいを求めて生きているの』
あちこちに散らばる積読だらけをそろそろ改めねばと、ようやく手に取りはじめました。
ある一定のルールを決めて、8名の作家さんがつくりあげる螺旋プロジェクト。
そのうちの一作、「平成」を舞台にしたのが朝井さんの作品です。
昨日、『スター』を一気読みしたせいか、なんとなく根底に流れているものが似ているなぁと感じました。
どちらも、胸の中にあるザラザラした砂を掌で外に押し出すような感じがあります。
なんか母指球あたりでこそげ出すみたいな。
砂って、手ではなかなか全部取れないじゃないですか。
*以下、ネタバレを避けたい方はそっと画面を閉じてください。
読み進めていくと、最初の章の雄介の立ち姿がちょいちょい脳裏をよぎるんです。
そして、最後の章に向かうにつれて、ものすごーく厭な予感がしたのが的中し、「…ぅわぉぅ」となりました。
何かを成さなくては。
何かを掴まなくては。
何か、私としてここに立つ赦しを探している。
私にだけできるオンリーワンの何か。
それを手にできれば、ようやく安堵できる気がする。
で、その何かって何?
私が「もともと特別なオンリーワン」としてここにいていいのかわからない、その特別ってどう特別なのか、値する資格があるのかわからない。
本当はあのフレーズ、資格云々の話じゃないはずなんですけど。
特別って言葉の響きが、どうしても付加価値をつけるべく砂の底で這いずり蠢いてしまう。
自分で自分にOKを出すって、ほんとめちゃくちゃ難易度高いんですよね。
実際、私もいい歳して、いまだに探しまくってますもんねぇ。
半分やけくそで、うん、OKOK!って自分を騙し騙し繋いでる感じ。
でもふと、自分の姿を俯瞰するような冷たい空気が足元を掬うんですね。
今回、朝井さんの作品を立て続けに読んで、ここしばらく、小説類を積読にしてビジネス書や専門書を渡り歩いては、足りない知識を補わなければ、アハ体験みたいな今気づいていない視点は何なのか、と躍起になって詰め込む自分を突かれた気持ちになりました。
胸骨あたりが痛い痛い…ぅぐ
最後の章、「雄介、お前そこは怯むんだな」と思いました。
そういうとこが、幼い2人の出会いにも見える智也が雄介を切り捨てられなかった理由のひとつでもあるんだろうなと。
最後までひたすら「頼む、智也頑張れ」と願ってしまいました。
結局、その後どうなったのかはわかりませんが、彼の指先にわずかな願いが届いたような気持ちになりました。
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