【起業】スタートアップの成長ステージ
スタートアップが100社あれば、当然、成長の仕方も100通りあるのですが、そのままでは、自分の会社がどこまで成長しているのか客観的に見ることができませんし、特に資金調達の際、VCや銀行に会社の状況を理解してもらうことが大変難しくなります。
創業からビジネスを開始し、成長を経て軌道に乗るまでの段階を「成長ステージ(成長フェーズ)」と呼んで、各ステージごとに名前をつけ、成長度合いをある程度モデル化します。これによって、自分の会社や事業の状況について客観的な説明ができ、相互に理解を深めることができるようになります。
また、自分の会社がどのステージにいて、次はどのステージに進むのかを意識しておくことによって、自分の考えを整理すると共に、社内向けにもやるべきことを明確に説明することができます。
そして、これから起業しようという方々も、自分が立ち上げた会社がどのように成長していくのか、全体像をイメージすることは大変重要です。とにかく事務所を出ろ! ユーザーに会え! とはいわれますが、まずは、はじめに成長ステージの全体像を押さえて、ビジネスが成長していく過程をイメージできるようにしておきましょう。
成長ステージ
現在、一般的に使われている成長ステージの名称は「シード」「アーリー」「ミドル」「レイター」の4つです。ただ、シードの前段階として「プレシード」を設定することも多くなっています。ビジネスのアイデアやコンセプトを煮詰めている段階をプレシードとして分けたほうが実情に即しているので、ここでは「プレシード」を含めた5段階のステージとして解説します。
プレシードステージ
ビジネスのアイデアを出したり、コンセプトを考えたりしながら創業のイメージを固めている段階です。
多くの場合、こんな商品を作れば売れるのでは? とか、こうすれば儲かるのでは? というアイデアからスタートしますが、この段階では顧客の課題を見つけ出すことが重要になります。
元々のアイデアの中で、本当の軸は何なのか、自分は本当は何がしたいのかという問いに何度も立ち戻りながら、見過ごしてきた社会課題に気付き、顧客の本当の課題を掘り起こすことが必要です。
顧客の課題が明確になったら、それを解決できるソリューションを組み上げて、これから始めようとする事業のストーリー作りまでをこのステージで終わらせます。
シードステージ
起業に向けて、すぐに実行可能なレベルまでソリューションを磨き込むのがこのステージです。
商品やサービスが、狙った通りに顧客の課題を解決しているか、想定顧客へのヒアリングや、実際に商品やサービスとして販売してみるなどの試行錯誤を繰り返しながら、具体的な形にしていきます。
基本的には起業前の準備段階を「シードステージ」と呼びますが、事業としてスタートさせた方が検証がスムーズにいく場合は、シードステージの中で起業します。したがって、起業直後の最初期までをこのステージに含む場合もあります。
どちらにしても、アーリーステージに向けて大きな資金調達の準備を進めている段階で、販売しようとしている商品やサービスが顧客のインサイトにマッチしていることと、それを投資家向けに説明できるエビデンスを得ることが重要になります。
アーリーステージ
起業してから、商品やサービスが顧客に認知され、収益化できるようになる。あるいは、将来の収益化が確実になるまでがこのステージです。
昔は、このステージのことを「スタートアップ」とか「スタートアップステージ」と呼んでいた時期もあり、このステージはスタートアップにとって大変重要な期間です。(ちなみにその頃は、いまの「スタートアップ」を指して「ベンチャー企業」と呼んでいました)
おおまかなイメージとしては、だいたい早くて3年、遅くとも5年程度でこのステージを終えるのが目標になります。
ミドルステージ
アーリーステージで十分磨き込んだ商品やサービスを一気に成長させるのが、このミドルステージです。
事業の成長に合わせて、会社の形を作っていくのもこのステージでの大切な仕事になります。
レイターステージ
ミドルステージで成長させた事業を安定化させ、IPO(株式上場)やM&A(事業売却)などによるイグジットを目指すのがこのステージです。
メインの事業を安定化させ、それを強化するために別の事業を立ち上げたり買収したりしている場合もあります。
このステージでは、IPOの準備などのために管理機能を強化し、社内の各組織の機能を明確にしていく必要があります。上場準備のための専任部門を新設するなど「スタートアップ」からの卒業準備を行います。
イグジット(EXIT)
多くの苦難をのりこえ、IPOやM&Aによるイグジットまでこぎつけることは、スタートアップとして目指すゴールではありますが、決してここから先に平穏な日々が待っているわけではありません。イグジットしたあとはスタートアップを卒業し、いよいよ株式市場または売却先のグループ企業として、より大きな成長を目指し、新たなスタートを切ります。
いわば、ここからが一人前の企業としてのはじまりになるのです。
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