オブジェクト
緑青が街を覆う
その街を巨人が跨る
しかし巨人も飲み込まれ、固まった
黄金郷であればよかったのに
ここは錆びた臭いと草臥れたみたいな人々
顔の皺さえも、時間さえもそこに形として
固まっている
オブジェクトであれば
どこかに向かっているかわかるのに
私達の街は巨人の下敷きになって
もはや何を指し示しているのだろうか
彼らのアフォーダンスは破壊と衝動で
私達に諦観だけを
指向性だけを積分して残ったもの
それだけがオブジェクトととして
私の世界を彩っていく
この街も、住人も、巨人でさえ
錆びてなお、生き残る
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