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薄利なのに多売もできない

自分が携わっている介護サービス事業って
提供したサービスの報酬の90%以上は必ず入金される仕組みになっていて
それはメリットではあるけれど
サービスが発生しなければ無報酬だし
そもそも設定された単位数が適切なのかも怪しい

最近、特にそんなことを考えたのが「訪問入浴」
「看護師1名を含む職員3名が利用者宅を訪問し
組み立て式の浴槽を持ち込んで、入浴を提供する」サービスで
入浴の自立が困難、デイサービスの利用にも身体的負担がかかる
主に看取りの時期、ターミナルケア、念入りな感染症対策が必要な方などが
利用される。

そして訪問入浴サービスの介護報酬は
(詳しい単位数は今思い出せないけれど)
概ね1回15,000円弱・・・


利用者宅での準備から入浴の介助をして片付け撤収に
約1時間くらいかかる

入浴提供に必要な水と機械を動かすための電源は
利用者宅のものを使わせてもらうが
お湯を沸かすボイラーの燃料とか浴槽の器具、給排水のホースとか
そういう備品は全て業者が負担するし
居宅訪問でのサービスなので
利用者宅から次の利用者宅へ移動するためのガソリン代などもかかる

1回の入浴支援にかかる、人件費や設備や運転の必要経費
それをその金額で賄いきれるのかって思う

自分がサービス提供してる中山間地で人口減な地域では
利用者宅から次の利用者宅までの距離がハンパなく遠くて
移動にかかる時間やガソリン代、車の消耗費なども馬鹿にならない

先日、訪問入浴の担当者の方と話をしたとき
午前中に1件、午後2~3件が限界だと聞いた
そして、毎回毎回、コンスタントにその件数のサービスができるかというと
訪問入浴の利用者って重度の方が多く
入院しました、体調が変わりました、亡くなりました、って
キャンセルになってしまうことが多い

新規の問い合わせがきても
予定に入っていれば、断ったり時間の調整が必要だし
キャンセル出たから、即、次を当て込むってことも難しいし
経営する人も相談員も難しい判断が常に必要

対象となる利用者は繰り返すけれど重度の方が多い
体調が不安定だし身体機能も低下している
その方、独特の心身面でのケアの方法があったりするし
一人一人の利用者の心身状態はもちろんだけど
ご家族の状況、家屋の環境も違う
体調・皮膚状態の確認から負担の無い体位、湯温の設定・・・
着替えや移乗や洗身、一つ一つのケアをするのに
専門的な技術や観察眼が必要

それだけ、いろいろな面で難しいサービスなのに
この、報酬の設定って
なんだか割に合わないな~って気がする

状態の良い今だから、家で過ごしたい
次に入院したら多分、それが最期みたいな状況の方の
急いで利用したいんだけれど継続は難しい、みたいな依頼を
嫌な顔しないで快く引き受けてくれて
丁寧にサービスして下さる入浴の事業所さん

本当にありがたく、頭が下がる
国や社会の評価はそういうことかもしれないけれど
利用者もケアマネもその価値はすごくわかっている

きちんとした仕事をして、貢献してる人や仕事が
正当に評価されて報われてほしいなって切実に思う