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犬には快適な部屋で転がっててほしい

私の部屋で隙あらば転がっている黒いモコモコは黒柴系mixで今年13歳になる保護犬出身の希空(ノア)さんである。

小さい頃から犬を好きだったわけではない。たまに憧れて飼いたいなんて言ってたけどそれは本気じゃなかったと思う。

友達が飼っていた黒柴が可愛いくて通うように可愛がらせて貰った時期もあったけど犬欲しい!飼いたい!!っていうよりは可愛いねー。くらいの気持ち。

ノアさんが来たのは私が中学生の時、父がその時犬飼いたいねと言っていて母は小さい頃から犬を飼っていたこともあって犬は好き、私も普通に好きだったのでペットショップをみたり、もともと動物が好きで保護犬の本を読んでたり所謂雑種の見た目が好きなのもあって保護犬をみたり、そんな中家から行ける距離である保護団体さんが里親会を開くとのことで見に行ったのがきっかけ。

当初我が家は別の子目当てで行ってて、母は私が「えくぼちゃん(彼女の保護犬時代の名前)も来るって」と私が言ったらしく、また黒柴に似た見た目だったため興味があるのかと思ったと言っていたが、私は募集の写真を見て何かこの子は違うとはなから見ようとすら思ってなかった。

当日、色んなわんちゃんを見たものの特に何があるわけでもなく「そろそろ帰ろうか」と。

その時私は確か定期テスト前で、まだ気分転換をしていたくて帰りたくなかったけどうまく言えずにまごついていた。

母が「じゃあせっかくだからえくぼちゃんみていく?」と朝通った時は周りに人だかりがあってみれなかったのだ。

そこから初めてリードを持たせてもらい河川敷を散歩した。

バッタをおいかけ、散歩の途中でご飯をしっかり食べた自由なわんちゃんは何故か家に来てくれることになりその里親会から数週間後、じゅくじゅくの柿と焼き芋を食べながら車でやってきた。(犬初心者の私は犬って柿たべるんだと衝撃を受けた)

11ヶ月の時に来て、保護してくださった方のところで躾もしていただけていたため、家具を噛むとかは少しあったけどこれといって大きなイタズラもせず、しいていうなら初日の夜にゲージから脱走して父の布団で寝るようになったくらいだ。(保護主さんのところで一緒にいたわんこがやっているのを見て学んでいたよう、保護主さんのところではやらなかったらしい)

ご飯を食べれば美味しかったとダンスを踊り、私が病に伏せると13kgで包みこみ看病してくれる。

テレワーク中の父の後ろで寝言を言い、朝5時に散歩したいと起こしてくる自由奔放な犬だ。

私が持っている彼女の1番小さい頃の写真は保健所が公開していた写真。彼女の経歴を探してなんとか探し出したその写真は緑色の床に他の犬達と寝転がっている彼女が映っている。

保護犬と呼ばれる犬を飼って思ったのは、ペットショップの犬でも保護犬でも最後までしっかり見送る事が出来る人が飼うべきだ。

飼っていれば、保護犬だろうとペットショップのわんちゃんだろうと関係なく可愛いと思うだろう。

特定の犬種に憧れていたり好きで可愛いと思ってペットショップで出会うのも全然ありだと思うし、保護犬を引き取るのもありだと思う。

ただ大人になった今、自分が保護犬を引き取れる立場かというと難しいと思う。

保護犬を引き取るには団体ごとに基準があって、家族構成や仕事、留守番時間も審査される。1人暮らしで今後数年以内に結婚や出産をする可能性が高いようにみられがちな20代の独身女性だと中々条件に合わない気がする。

人生を一緒に歩いてくれる犬をどのような形で選ぶかは人それぞれでいいと思う。

大事なのは私達より先に走りきってしまう彼らのゴールテープをしっかり握って切らせてあげること。

緑の床で転がっていたあの子は、私が出会う前から色んな人たちの力があって命を繋ぐことができ我が家にやってきてくれた。

今もとなりでフンスッと鼻をならしている。

出身はどうであれ、全ての犬は快適な部屋で転がっててほしい。

ぴすぴす鳴いてみたり、クーラーやヒーターを占領してみたり、ちょっと飼い主を困らせたりしながら生き生きと楽しそうに生きてほしい。

貴方がゴールテープを切ってしまうその日までどうか私の隣で転がっていてほしい。

#うちの保護いぬ保護ねこ

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