シェア
ゆるるか
2019年7月3日 12:51
ウツホへ届けようと、上へ放りましたが、それはすぐハニにかえってきてしまいました。拾い上げ、今度はさっきよりも腕を振り上げて放りました。またかえってきてしまいます。 ゆっくり放ってみたり、自飛び上がりながら放ってみたりしましたが、それがウツホに吸い込まれることはありません。
2019年7月3日 13:00
少し疲れたので、キの根元にうずくまりました。いつもはこうしているとすぐに眠ってしまうのですが、なんだかざわざわして中々眠れませんでした。これはとても美しくて、この暗い森の中でとても輝いているけれど、いつまでも持っていてはいけないと思いました。
2019年7月4日 23:26
そんなことを考えながらふと前に広がる大きなスイを見ると、夜の目に照らされたスイの表面はキラキラと輝いています。今、手の中にあるものよりもずっと弱々しいし、常にぬらぬらと蠢いていましたが、その一瞬に見せる輝きは似ていました。
2019年8月31日 20:34
ゆっくりと遠くを見ていくと、夜の目もスイの表面にうつっています。スイのすぐ上には本物の夜の目があります。今日は、何を考えているかわからない、まんまるの形でした。おや?
2020年1月29日 07:25
光はスイに導かれ、真っ直ぐに黒い点へ進みます。周りの弱々しい光はまるで邪魔をしないように引き下がっていきます。やがて、光はぴったりと黒い点に重なりました。
2020年2月7日 01:42
ひろいひろいスイの全部がいっぺんに盛り上がっていき、美しいウロコの大きなサカナが現れ、一度こちらを見るとゆったりと体を揺らしながら、幾億ものサラサラとした鈴の音を従えて夜の目へと還っていきました。
2020年2月7日 03:02
手をはなさなければ、いっしょに行けたのかな。了