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好きなことを仕事にしてみたけれど

「好きなことを仕事に」「好きなことで生きていく」というフレーズがポジティブに捉えられるようになり、多様な働き方が生まれつつある今の日本の雰囲気が好きだ。

そして私も、どうせ同じ時間を使うなら”好きなこと”を仕事にしたいと思い、当時一番面白いと感じていた動画作成を仕事にしてみることにした。

動画を撮影して編集する、ということ自体はインターン業務で経験があったものの、自ら顧客を探し0から作り上げることは初めてだった。ただの学生である私が社会人の方とうまくやっていけるのだろうか、スキルが足りていないのではないか、などいくつかの不安があった。でも、これまでの人生で一番と言えるほど時間を気にせずに没頭できることだったから、熱量でどうにかやっていけるだろうと思っていた。

はじめは順調だった。というのも、知り合いの学生を顧客としていたので、遊びの延長線上という感覚でできていたからだと思う。

私が本格的に「なんか違うな…」という違和感を抱き始めたのは、ある程度大きい企業からお仕事をいただくかもしれない、という機会が訪れたときだった。何度かミーティングを重ねていく中で、動画作成に対して本当にやりたいと思えず、無理やり自分を奮い立たせていることに気づいた。

仕事にする以前に抱いていた「好き」という気持ちは本当だったはずなのに。

たぶん私は、仕事にすると生まれる「責任」や「制限」を受け入れられるほどの”好き”ではなかったのだと思う。というよりは、”好き”にも種類があるのかもしれない。趣味の”好き”と仕事の”好き”は、何かが違う。

そして単純に、相手の求めているスキルに自分が見合わなかったというのもある。学生としてではなく、仕事のパートナーとして相応のものを求められているということを改めて実感した。そして、それを提供できない、提供できるほど突き詰めて頑張りたいと思えなかった。

少し話は飛ぶが、私は3年間ずっと塾講師のアルバイトをしている。決して勉強が大好きなわけでないけれど、ある程度理不尽なことや困難があっても、なんだかんだモチベーションを保って続けられている。

この違いはなんだろう?

今ある一つの仮定は、「自信があるスキルかどうか」、「相手より上のスキルをもっているかどうか」だ。自分が確実に価値を提供できることがわかっていれば、気持ちに余裕ができるし、仕事に対するやる気も出る。自分のキャパを把握できているので責任も受け入れられる。


「好きなことを仕事に」を実際にやってみた結果、「何を仕事にしたいのか?」という深い迷路に入り込んだみたいだ。


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