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遠慮せずにはいられないが、出るとこは出たほうがいい 【おやつ日記:5月16日〜5月26日】

5月17日(金)

休憩室にひとつだけ残っていたお菓子(通称:遠慮のかたまり)を、遠慮せずに食べることにする。

最初の3日間ぐらいはそのまま置いて様子を見ていたのだけど、誰も食べない。それでいて箱が大きいのにひとつしか入っていないし、このまま置いていても場所をとるだけだな、と思って、食べてしまった。


こういうゆずりあいって嫌いじゃない。むしろいいなあ、と思うし、でも最後は誰かが食べなきゃいけないよなあ、と思って美味しくいただいた。



5月18日(土) ①


土曜日。財布の中にたまったレシートを整理していたら、その中からひらりと「クリーニングの引き換え券」が出てきて、思わず「はッ!」と声をあげる。

冬もののコートをクリーニングに出したまま、出したことすら忘れていた。

引き換え券の1番下には、「1週間以上取りに来られない場合は工場で保管させていただく可能性があります」と小さく書かれている。

慌ててお店に電話をしたら、まだ店内にあるとのことだったので、自転車ではあはあ言いながら急いでとりにいった。

それにしても、重要なことほど小さな字で書かれているのはなぜだろう。

このお花の名前、どなたかご存知ですか?


5月18日(土) ②

土曜日。昨日ニョロニョロちゃんに、「ハナムラさん、明日お休みですよね?」と言われるまで、自分が休みだということをすっかり忘れていた。

えー、うそー、明日休みー?!やったー!何しようー?!と思ったが、せっかくなので金曜日と土曜日しか開いていないタルト屋さんに行くことにする。


かわいいお店のショーケースには、カラフルでみずみずしいフルーツタルトがずらりと並んでいて、どれにしようかさんざん迷って、いちごのチーズタルトと台湾パイナップルタルトに決める。


「美味しそうなタルトを買ったからおばあちゃんの家で一緒に食べよう」と母にLINEを送り、祖母の家に向かう。途中スーパーに寄って、洋菓子が苦手な祖母のために、豆大福とよもぎもちを買っていく。

「いちご、あまいわあ」「パイナップル、大きいなあ」「この豆大福、はじまであんこぎっしりつまってるわ」

とそれぞれ方向性の違う感想をあれこれ述べながら、3人でおやつを食べた。


うっとり



5月22日(水)


水曜日。平日。休み。カラッと晴れ。「これはどこかへ行くしかないでしょう」と思い、清涼寺へ行く。

嵐山駅から清涼寺まではそこそこ歩いたような気がするけれど、道中のにぎわいが、とても楽しい。嵐山は確かに人が多いけれど、面白いお店も多くて毎回飽きない。「わあ、あの店行きたいなー」「この店も良きだー」と時々目的を忘れそうになってしまう。


清涼寺周辺までくるととても静かで、駅周辺のにぎわいがまるでうそのようだった。


ゆっくり見て回ったけれど、清涼寺を出るころはぼーっとしていた。ああ、良かった。実に良かった。釈迦如来立像。阿弥陀三尊像。枯山水の静かな庭園。庭園のそばの机に置かれていた、旅の記録のノート。その中につづられた、誰かの大切な想い。

この日は暑かったので、ソフトクリームを食べながら歩いている人たちがなんだかうらやましくて、自分もやろうかなと思ったけれど、また今度でいいか、と思い、プリンを買って帰ることにする。


つぎは嵐山でソフトクリームを食べ歩きをするのが夢だ。




5月26日(土)①


いつも前を通るだけで、通り過ぎていたケーキ屋さんに初めて入る。

外から見ている限り、多分何十年もこの場所でやっているケーキ屋さんだろうなあと思ってはいたけれど、やっぱりそのようで、わたしが入ると常連さんが店員さんとおしゃべりしていたし、わたしがケーキを買ったあとは、右うでにタトゥーの入ったタンクトップの若い女の子がお店に入っていった。

何十年もお店がつづいているのには理由があるんだなあ、と思う。それは少しぐらい自動ドアの反応が悪くたって、関係ない。むしろそれが愛らしく思えるぐらいなのだと思う。それだけ、このお店は愛されている。

買った米粉のロールケーキは、結構大きい。大納言豆と栗が入っていて、くるくるまかれたクリームはふわふわであっさりとして美味しかった。

今度はフルーツロールケーキを食べてみようと思う。楽しみ。



5月26日(土)②


急遽、祖母の家に親戚の叔母さんたちが遊びにくることになったので、わたしも混ぜてもらう。

母がスーパーで買ってきてくれたお寿司を食べながら、ぺちゃくちゃ近況を話す。

叔母さんの子ども(わたしのいとこ)が結婚することになったそうだ。おめでとう。

そのあと、叔母さんが持ってきてくれた、成城石井の自家製プレミアムチーズケーキを食べる。このケーキ、何度も食べているけれど、この濃厚なねっとり感がたまらない…!チーズケーキはあっさりより、これでもかっていうぐらいねっとりみっちりしていたほうが好みなのだ。

皆が帰って祖母と後片付けをしながら、
「こんなんいうたら買ってきてくれたお母さんに大変申し訳ないんやけど、いや、美味しかったんやけどな、美味しかったんやけど、お寿司のネタもシャリもめちゃ小さくなかった?」とこっそり聞いたら、

「…いや、おばあちゃんも実はそない思た。あ、小さいわあ…って。いや、ほんま美味しかったんやで、美味しかったんやけどな」とこっそり答えてくれて、


ふたりで顔を見合わせて、「これはここだけの話にしとこうな」とくすくすと笑い合った。

六花亭のマルセイバターサンドも買ってきてくれた


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