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自然を感じる暮らしについて考える

「自然を感じる心地よい暮らし」
これは私が設計する上で大切にしているコンセプトです。
住宅であっても非住宅であっても同じです。

暮らし、という言葉は住宅で使われることが多いです。
○○な暮らしっていうとだいたいが、家の中の出来事に対して使われます。

ただ暮らしとは、場所で区切られるものではなく、地続きな状態です。
だから、働いていても、移動中であってもそれは暮らしの一部です。

まずは「暮らし」という言葉を住宅だけではなく、幅広く使うことにしてみました。

次に自然を感じるとはどういうことでしょうか?

そもそも自然って何??

なかなか深い問いかけです。答えも人によって違いそうです。

自然というと、山川草木のようなイメージがありますが、元来日本語で「自然」という言葉にそういった意味はなかったそうです。
英語の「nature」の訳として、あるがまま・人の手の加わっていない状態という意味で使っていた自然という言葉をあてて、次第に現在の意味になったそうです。

人為の加わっていない状態を自然とすると、庭や観葉植物を飾る・育てることは自然とは逆の意味になりそうですが、ここでは簡単に、一般的に連想される範囲で考えたいと思います。

私たちは庭をみても、それが厳密には自然ではないかもしれないが、そこに心地よさを感じるからです。
この心地よさは、森や海に行ったときに感じる心地よさと同じだと思います。

ここでようやく本題に入ります。

「自然を感じる暮らしとは」何か。二つの意味で考えたいと思います。

まずは山、川、海、草木、動物、雨、風から

自然を感じるとき、そこには優しさだったり、畏怖であったり、壮大さ、美しさといった感情を抱きます。
温かいそよ風、新緑のみずみずしさ、川や海の穏やかな音は安心感と優しさを与えてくれます。
一方で、台風や地震に代表される自然災害はその対極です。
穏やかさと激しさ。しかもその激しさは人為を超えたものです。

私たちは、自然与えてくれる優しさを享受したいと思う一方で、脅威に対しては徹底して備える必要があります。

建築の原始的な機能は自然の脅威から暮らしを守ることにあります。
壁と天井によって外と内に強制的に空間を分け、その内側で私たちは普段暮らしています。
ただし、強制的に分けられた空間には自然の脅威から守ってくれますが、優しさも排除してしまいます。

だから設計する際は、自然の優しさが中に入ってくれるような工夫をします。

自然を感じる暮らしとは、その中に入ってきた優しさを感じる暮らしのことだと思います。

ちょっと長くなったので、もう一つの自然(ありのままの状態)については今度書こうと思います。


一級建築士事務所 アトリエ・ユルリ
https://atelier-yururi.net
仙台を拠点に住宅の新築・リノベーションの設計デザインをしています。 noteでは仙台の暮らし、建築やデザイン、日常の感じた事をゆるりと発信。


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