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夢で逢えたら

夢は、所詮はただの夢なのだろう。たとえもしそうだとしても、亡くなった人々が出てくる夢に限っては。「あちらで元気にやっているよ」という彼らからの知らせであって欲しい…と、つい思ってしまう。
 
先日も、そのような機会があった。初めて父方の祖父の夢を見たのだ。今年でもう十三回忌を迎えたというのに、亡くなってから1度も夢に出てきたことがなく。他の親しい親族は皆、亡くなってから一度は顔見せしてくれたのになぁ…なんて思っていたのだけれど。ついに、やっと、会いに来てくれたようだ。

夢の中の祖父は、現実では見た記憶があるかどうか…というくらいの、それはもういい笑顔だった。祖父の名前の書かれた木札を目にして、まだここにいたんだ…と建物に入ると、そこにはにこにこ顔の祖父がいて。嬉しそうな満面の笑みで、「ありがとう」としっかりと抱きしめられた。そして僅かな会話を交わした後に、その他の多くの人々と一緒にこの地を離れるためにバスのような大きな乗り物に乗り込んでいった。他にも父方の元気な身内の顔も見かけ、皆で祖父の新たな旅立ちを見送るような夢だった。
  

新たな旅立ちといえば、父方の祖母についてもそんな夢を見たことがある。

祖母とは小さな子供の頃、「死んだら本当に幽霊がいるかどうか、教えてあげる」という約束をしたことがあるのだけれど。それを覚えていてくれたのか、それとも自分がそのことを覚えていたからこそ夢に見たのか…亡くなってわりとすぐに、先に亡くなっていた叔父を伴って夢の中にやってきた。しかしその時は、自分が"お化けの気配"と呼んでいる、どこかゾッとするような気配を漂わせていて。会えて嬉しいというよりも、ただただ怖くてろくに会話もできなかったのを覚えている。
しかし、祖母が夢に出てきたのはそれだけではなかった。それからしばらくして、また祖母の夢を見た。その時の祖母は首元に巻いたストールをなびかせて、1人で颯爽とどこかへ旅立つ姿が印象的で。もうお化けの気配はどこにもなかった。もしかして…と亡くなってからの日数を数えてみたところ、ちょうど四十九日の頃だった。

十三回忌の年にやっと挨拶に来てくれた祖父と比べると、なんとも早い旅立ちで。今にして思えば、いかにも女傑タイプだった祖母らしい潔さだ、なんて思ってしまう。

 
母方の祖母は最初に夢に出てきた時は寂しい岩山におり、その時はまだお化けの気配をまとっていた。しかし母が亡くなる日の朝の夢で、母と一緒にどこかへ旅立つバス待ちの列に並んでいた祖母は。もうしっかりと清々しい気配になっており、何もわかっていない様子の母にしっかりと寄り添っていて。「ああ、お母さんのことはおばあちゃんが迎えに来たのか…」と思ったことを覚えている。

母方の祖父は、1番よく夢に出てきている。一緒に歩きながら何気ない話をしたり、自分が試練に挑んでいるのを見守ったりそっと手助けしてくれたり…という夢が多いので。「もしかしたら、おじいちゃんは本当にそんな風に見守ってくれているのかもしれない」なんて、思ったりする。初孫だった自分は、ずいぶんとこの祖父にはかわいがってもらったのだ。

 
数年前に亡くなった友達は、友達の娘ちゃんに会いに行く前に夢に出てきて。なぜかこちらの髪を引っ張って遊んでいるので、変な夢だなーと思っていたら。その後に会った友達の娘ちゃんに同じように髪を引っ張られ、三つ編みを作って遊ばれて。なんとなく「あー」って思ったり。

ただの夢とはいえど、こういった夢はあちらに行った人々が元気にやっているという知らせのようで少し嬉しい。願わくば、彼岸に向かった親しい人々が皆、平安のうちにありますように…

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