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『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』は人の心を抉る。

最近読んだ本のを感想を書く。
Twitterでバズっていた
麻布競馬場と言う人の短編小説をまとめた本の事だ。

この本の登場人物はみんな不幸だ。

不幸と言っても、何か悲劇的な事件が起きるわけではない。
暴力や貧困に直面するわけでもない。
普通に東京や、その近郊都市で暮らしている人達だ。

では何故不幸かと言うと
原因はおそらく承認欲求だろう。
親、世間、社会に認めてほしいと…
肥大した自己愛と承認欲求に押しつぶされて
何者にもなれない自分の未来を憂う不幸だ。

完全なフィクションかと言われるとそうでもなく
「実際いるなぁこんな人」のオンパレードだし
僕自身もそうだった時期はある。

僕はかつて就職せずニートになったのだけれど
原因の一端はおそらく
自分の「何物にもなれない」未来が
地方で就職することで確定してしまうことが怖すぎた
ことにあるのだと思う。

上京してから出会った人たちも
何者かになりたい人達ばかりだったと思う。
僕は上京してから結構長い間
某シャレオツスポットにある書店で働いていた。
そこの仲間は
広告出版業界への就職を狙う東大・早慶の大学生や
一旗掲げたい夢追いフリーター達が殆どだったのだけど
皆、この本の登場人物に似た悩みを抱えていたように思う。

彼らだけではない。
何者かになりたい、尊敬されたい
承認されたいと悩む人には、
僕はかなり出会ってきている。
例え口では斜に構えている風でも
行動として現れてしまっている人も…。

例えば僕は承認欲求は意識的に消しているが
ゼロではない。
承認欲求がゼロならばnoteなど書かないだろうw

つまり、この本は
多くの人が抱える心の闇を
上手に言語化している小説だということだ。
その為、
読む人によっては心を深く抉られる可能性がある。
取扱注意だ。
だが、自分が感じているモヤモヤと向き合い、
晴らしてくれる機会にもなるかもしれない。

さて、この本の読後感はおそらく最悪だろう。
なので処方箋を置いておこう。
僕は藤井風を聴いて解毒した。
この本を読んでモヤモヤしたら是非聴いてみて欲しい。

なかなか気付けんよね、何もかも既に持ってるのにね

まつり 藤井風


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