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地質学者はアレを見てしまう・・

地質に詳しいと世界が楽しくなる

先日は1人ドライブで秋保大滝についてレポートしました。

その時の記事では当然、観光客としての視点で書いていましたが、実は自分自身では「地質学者としての視点」の方で楽しんでいました。

地質学は大地の成り立ちを研究する学問。

大きなスケールで見ていくと、地球の歴史・・・つまり、どうやって今の地球ができたのか?昔はどうだったのか?どのようにして人類やその他の生物が進化してきたのか?

などなど、とてもロマン溢れる物語がたくさんあります。

だからついつい、山や川へ行くと一般の人とは違うところに目が行ってしまう(笑)


まず滝の反対側に目が行ってしまう

見出し画像は秋保大滝の滝壺へ降りる手前の橋から見える景色。滝の逆側の方向に見えるです。地質学者はまず、に目が行ってしまいます(笑)

なぜなら崖では地層やら岩石やらが綺麗に見えるから(笑)

キレイな緑に覆われた山よりも、岩盤むき出しの崖!コレです。

崖の途中で健気にも逞しく咲き誇る山桜には、写真撮影後に気づきました。

「お!崖だ!」と思って写真を撮ったもので・・・(^^;


秋保大滝では何を見たのか?

そんな私が滝で何を見ていたかと言うと・・(ちゃんと滝も見てましたが)

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この写真では、水煙の左側滝の右側に見える、すべり台のような平らな面

さらに左の方を見てみると・・

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この平らな面の上にも似たような方向・・右上から左下にのびる割れ目が多数見えるんですよ。(※一般の人は見えないですよね、ゴメンなさい)

地層や岩石を判定する時、同じ方向の面はかなり有益な情報になるので、ついつい目が行ってしまうんですね(笑)

これを見たために「この岩石は何岩なんだ?」という興味が高まってしまい、「あの岩を割ってみたい!」という衝動にかられました(^^;

地質学者は岩石を調査する時はハンマーで割って観察するんです。でもさすがにここは観光地。そんなことはできません。そこで・・

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周囲に転がっている大きな岩石を観察することにします。足はワザと撮りました。大きさを想像しやすいですよね。

これだけ大きければ川の流れではそうそう運ばれません(土石流では動くかも?)。ですので滝の周りの崖から落ちてきたものと想定して観察してみます。

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アップで見てみます。黒や白やらの岩のカケラがたくさん見えます。これはおそらく火山礫凝灰岩であろうと考えられます。

いきなり専門用語ですみません(^^;

火山礫凝灰岩(かざんれきぎょうかいがん)とは火山噴火でできた岩石のカケラや粉が斜面などを流れ下って溜まり、長い年月の間に固まって岩石になったものです。

つまり秋保大滝周辺は、大昔は火山だったと考えられます。

さきほど文献などで調べてみたら、このあたりの地層は20万年前から15万年前の火山性の地層だそうです。


今回は落ちている岩石をチラ見しただけのお話でしたが、今後はみなさんにもっとワクワクして貰えるようなネタを探して記事にしていきたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

天野一男(1980)奥羽脊梁山脈宮城・山形県境地域の地質学的研究.東北大学理学部地質学古生物学教室研究邦文報告,no.81,p.1-56.

5万分の1地質図幅「仙台」(北村信・石井武政・寒川旭・中川久夫、1986、産総研地質調査総合センター)

20万分の1地質図幅「仙台」(大沢穠・三村弘二・久保和也・広島俊男、村田泰章、1987、産総研地質調査総合センター)

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