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第1話: デザインも何もかも素敵なフランスの絵本🇫🇷

東フランスのアルザス出身のトミーウンゲラーさんの作品、月男。すてきな3人組で有名な作者さんである。

彼の作品の挿絵や色づかいがカラフルで、毒のありながらも茶目っけがあり、意外と奥が深い作品が多い。この作品はその中でも注目されていて、フランスでは映画にもなっていたりする。

ストーリーは、地球に憧れた月男が地球に来て、地球人と楽しく生活するんだけど、変な異国人だと思われて牢獄に入れられ、脱獄するが警察に追われる身になって、最後宇宙博士に出会って月に送ってもらうというもの。

内容は、子どもには少しこわいなと思う場面があるかもしれないが、これは実際にウンゲラーの実体験に基づいているようだ。彼がアメリカの政治的な風刺絵を描いて、追われる身になった実体験である。

この絵本の素敵な箇所は、いくつかある。月男に合うように背景が暗く、それに合うようにカラフルな夜の挿絵が美しかったり、月の満ち欠けで月男が欠けたり満ちたりする描写が面白かったりするところである。月男がウンゲラー自身であると仮定して読んでみると、より一層面白く読める。

最後の描写にて、「月男は、自分の地球への興味が満たされ、2度と地球には戻らなかった」とあるのは、ウンゲラーさん自身がアメリカには2度と戻る気はないという意味が込められているのかもしれない。

表紙も裏表紙も本体のページも美しく、彼のアメリカ時代の記憶の景色を込めて描いているようにも見えるので、奥が深いなと思うのであった。

ぜひ一人でも多くの方にことすばらしいアートを感じてほしい。
彼の絵本への考え方を最後に。

湯る子




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