時代の潮目が変わってきているような気がする
今振り返ってみると、ここ数年世の中で起こったことの多くは、実質ネット上の出来事だった。
アメリカで巻き起こったトランプ旋風はもちろん実社会で起こったことだ。米議事堂乱入もリアルに展開したことだ。
とはいえ、リアルな出来事の規模が仮に「1」だとすれば、それがネットの拡散力を使って×100にも×1000にも膨れ上がり、ネット上が主戦場になっていた。
ウイルスも同じだ。
「Sars-CoV-19」は、コンピューターウイルスではない。
マジもんのウイルスなのでネットを伝って拡散されるわけではないし、ノートンで駆逐することもできない。
感染はリアルワールドで展開し、罹患した人はリアルに熱がでて、咳がでている。それに対抗するためのマスクもワクチンもリアルな防御システムだ。
ただし、ウイルスに対するうさわや恐怖はネットで×100にも×1000にも膨れ上がり、あおられてきた。
それに対して社会がどう対処すべきかどうかという論争も大部分がネット上で交わされていた。ワクチンの是非をめぐる戦いもほとんどはネット上の戦いである。
でも、ここ数週間、そうしたバーチャル偏重のながれの潮目が変わってきている気がする。
今、ロシアは、かなり古典的なやり方で戦争を戦っている。ネット上でいくら議論しても、しょせんは外野席のこぜりあいにすぎない。
仮想空間偏重の時代から、原始的な弱肉強食の時代に一気に時計の針を巻き戻されたようだ。
おもえば湾岸戦争の頃から「戦争がゲーム化した」といったようなことが言われ、サイバー部隊やドローン攻撃などITありきの戦いが主流だった。
しかし、今回ロシアがやっているのはゴリゴリの古くさい戦争である。そして、SNS上の国際世論などというものを無視してゴリゴリと進められている。
こうしたゴリゴリが可能になったのは、アメリカが世界から手を引いたことが大きいだろう。
国連総会のロシア非難決議は、賛成141カ国でロシアが孤立したのだそうだ。しかしベラルーシや北朝鮮やシリアは反対し、中国もインドもイランも棄権している。
こうした国々がゴリゴリと軍事力にモノを言わせ始めたら、国連決議ではどうにもならない。
経済制裁という手段はあるけど、ウイルスで弱体化した国際経済に制裁がくわわればさらに悪化する。そうすると、原油も食料も輸入に頼っているぼくらの国はずいぶん困ったことになるだろう。
そこに天変地異が重なったりしたら目も当てられない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?