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高度1万メートルで○○を吐いた話

お食事中のかたにはいきなりでもうしわけないが、ぼくは高度1万メートルでゲロを吐いたことがある。もちろん、飛行機の中だ。しかもゲロ袋にではなく、トイレに駆け込もうとしてそのまえに通路でやらかしてしまった。

あれはたしか、98年の大みそかが、日付変更線を越えると99年の元旦の夕方になるというまことにめでたい日のことであった。あ~、ぜんぶ書こうかなあ、飛ばそうかなあ・・・。

通路でゲロってしまったぼくに日本人の客室乗務員さんがやさしく対応してくださったのだが、どうやらそのときのゲロの一部が他の乗客に飛び散っていたらしいのである(もう最低)。あとで、関西弁の兄ちゃんが「ヒトにゲロかけといてあやまらんかいボケ!」とぼくのシートにどなりこんできて、ぼくが平謝りしていると、よこから奥さんが「この人いつもこんなんですから気にしないでくださいね~」とこれまたやさしくフォローしてくれたのだった。ペコペコしているぼくをあわれんだのだろう。

調子に乗ってタダ酒を飲みすぎてしまった。しかし普段ならあのくらいでゲロってしまうことはないのだが、疲れていたのだろうなあ。それにしても昨日は「ただしい昼酒の呑み方」などとえらそうに書いてしまったが、じっさいは高度1万メートルでゲロったなさけないヤツつでありそんなことを言える立場にはない。

それにしても、飛行機って他の交通機関と比較してややサービス過剰だと思うのだがどうだろう?たとえば羽田ー松山は実質1時間のフライトで、水平飛行にうつってトイレに行ける時間はわずか30分である。にもかかわらず、飲み物のサービスが回ってくる。通勤電車ですら1時間半乗っているひとはたくさんおり、立ちっぱなしでコーヒーなど出てこない。羽田ー松山くらい、乗客全員をつり革につかまらせて立たせておけばいいのである。

これは、もともと飛行機が高級な乗り物だったなごりだと思う。はじめて旅客機が大西洋を跳び始めたころ、飛行機に乗れるのはごく一部の富裕層だけだった。だから、富裕層向けにリッツカールトンなどの超高級ホテルのサービスノウハウを客室サービスに取り入れたのではないだろうか。それがファーストクラスの元になり、ビジネスクラスにも適用され、そしてエコノミークラスにも、それなりにサービスする習慣ができてしまったのではないか。

そのおかげでぼくはタダザケを飲みすぎて、みっともなくゲロを吐くことになってしまったわけだが、あれを思い出すたびに自分の愚かさに気づき、初心に帰れるのでまあよかったと思いたい。

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