人を食ったような生き方をしませんか
「ロック」と一口に言ったっていろんな面があるはずだ。
クラシックだって、演歌だって、フォークだってそう。
おなじくジャズにもいろんな面がある。
ひたむきな演奏もある。
ほとばしるようなものもある。
ノリのいいもの。迫力のあるもの。
感動させるもの。おしゃれなもの。
しみじみさせるもの。いろんな面があるのは他の音楽と同じだ。
しかし、他の音楽にはない一番の特徴というと「人を食ったような音楽」という部分だろう。
一番通じる面があるのは、たぶん落語ではないだろうか。ぼくは落語にはくわしくないのでそこは語れないけど、外から見ていてもなんとなーく通じるものを感じる。
初代 林家三平師匠が亡くなる直前のこと。倒れて病院にかつぎ込まれた際、意識を確認するために「あなたの名前は?」と聞かれて「加山雄三です」と答えたという逸話が残ってる。
こういうのを聞くと「ああ同じだなあ」とおもう。
しかし、こういうジャズのジャズらしさについて、あまり世間に伝わっていないように感じる。シャレというのはだれの生き方にも参考になる大事な要素だが、しばしばわすれられてしまう。
そして、まことにエラそーではあるが、もしぼく自身にも生き方というか、人生に対するスタンスみたいなものがあるとすれば、まさにこれだ。
ぼくは人を食ったような生き方をしてきた。そしていま現在も、ひと食ったような「プロジェクト」を推進中なのだが、めどが付いたらまたここに書いてみよう。そういう自分はジャズな生き方をしているんだなあとしみじみ思う。
そういうことを語る気になったのはイイ映画を見たからだ。
ジャズを実にうまくジャズらしく使い、ジャズらしい生き方をえがいてくれている良い映画に出会ったせいで、ジャズの良さを再発見している。ロバート・レッドフォードの引退作『さらば愛しきアウトロー』(2018)
この予告編の音楽を聴いてもらえばだれでもわかる。説明はいらない。ずっーっと同じ音を繰り返しているだけだから(笑)。
この人を食ったようなシャレた音楽は、主人公フォレスト・タッカーの人生そのものだ。
1980年代初頭。スマートな物腰とチャーミングな笑顔を武器に、誰一人として傷つけずに銀行強盗を重ねる70代の男がいた。銀行襲撃回数が90回以上で、脱獄回数も16回という実在の人物だ。なんとアルカトラズからも脱出している。
捕まえたが刑事に「なんで強盗なんかやるんだ?あんただったらもっと楽に暮らせるだろう?」と聞かれて
「楽に暮らすことなんかどうでもいい。生きたいんだ」と答える。
この作品を見れば、ぼくが言いたいことは理屈抜きにわかるはず。ただしアマゾンプライムでは先日無料公開が終わってしまった。でもイイ作品なので、このまま埋もれてしまうことはない。いつかどこかで出会えるでしょう。
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