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なんやかんやでこうなった

「なぜこうなったのかわからないけど、なんとなくこうなってしまった」というのは人生によくあるでしょう。

そもそも、ぼくは、なぜいまここでnoteを書いているのだろう?自分でもよくわからないけど、なんやかんやでこうなった。

ほかにもある。ぼくは天下国家を語るようなタイプではないんだけど、現在はそういうことに関心の深い人たちと交わっている。なんでこいうことになったのかがよくわからないんだけど、なんやかんやでそういうことになっている。

「類は友を呼ぶ」というが、ヤンキーはヤンキーで集まり、科学者は科学者同士でつるむ。たまたまヤンキーが科学者の群れに入ってしまったばあいは、なんとなく調子が合わないというか、会話が通じないというか、違和感があるはずだ。

同じく、映画や小説を好む人の群れにいたぼくが、政治や経済に物申すタイプの人たちの群れに移ると、科学者の中に入っていったヤンキーほどではないにしろ、ちょっとした違和感を覚えることは多い。

群れによって特徴が異なる

政治や経済を語る人たちはみな頭がいい。しかも博識で、難しい本をたくさん読んでいる。

ぼくはというと、ここ数日は、藤沢周平の『海鳴り』上・下を読んでいた。もっと難しい本を読まなければ、と思うのだが、ダルくてそういう気になれず、藤沢を読んでいた。

藤沢周平だって立派には違いないが、難しくはなく、ストーリーを簡単にまとめると、「老いを感じた主人公が不倫に目覚め、家庭を捨てて駆け落ちする」という『失楽園』みたいな話だ。

こうして、失楽園みたいなものばかり読んでいる人間が、天下国家を論じる人々の群れに入るとそりゃあ調子が狂うのである。

その違和感をうまく言葉で表現できなかったのでもう何か月も考えているのだが、ようやくまとまってきたので今日は書いてみたい。

政経族と文芸族

ここで天下国家を語る人々を便宜上、仮に「政経族」とよび、映画や小説が好きな連中を「文芸族」と呼ぶことにする。ただしこれはあくまでステレオタイプにすぎず、特定の人を思い浮かべているのではないことはおことわりしておく。

さて、政経族から文芸族を見ると「物を知らない連中」ということになるのだろう。一方で、文芸族から政経族を見ると、ある種の「子供らしさ」みたいなものが感じられる。

これは、いい意味でいうなら「純真・無垢」ということだし、あまり良くない意味でいうなら「感情表現がやや未成熟」ということになる。

スナックで酔ってママさんに自分語りを続けているオヤジみたいなかんじといったらいいのか・・とはいえ、これはあくまでステレオタイプで、そういう特定の人がいるわけではありません。

たとえば、ぼくなんかだと、だいたいの議論は適当なところでオチをつけて終わらせるし、ややこしい話もソコソコのところで冗談で切り上げる。ぼくだけでなく、文芸族というのはだいたいこういう連中だ。

しかし、天下国家を語るひとびとは語れば語るほど熱くなり、肩に力が入り、冗談どころではなくなっていく。自民党の腐敗とか、官僚のダメさとかを吊るし上げていく感じになり、「こいつが悪だ、こいつらがこの国を腐らせている!」という話になっていく。

文芸族に言わせれば、

そうはいっても同じ人間なんだし、ぼくだって同じ立場に立ったら同じことをやっていたかもしれないし、やってみなければわからない苦労というのもあるだろうし、そりゃ、ダメなところもあるだろうけど、がんばってくれているところもあるんだから・・

みたいなグダグダした言い分になるのだが、そういうことではおさまらない。

悪い奴らがのさばっている!

というのが大前提であり、自民党=サンドバッグなのであって、総理はこきおろすために存在する。。。このようにそもそもの世界観が異なるので、どうにも通じ合えない。

若い人なら仕方がない気もするが、むしろお年を召された人ほどこういう傾向の人が多いようにも思える。しかし、文芸族の中では年齢にかかわらずこういうタイプの「闘士」に出会ったことがないので、年齢というより群れの属性なのだろう。

子ども的なポジション

ならばご自分で立候補すればいいのではないか、というような話には決してならない。

日本という社会が、自分を包んでくれる親のような存在だとわかっているから、無責任にこき下ろせるということなのか。つまり、親の作ってくれた弁当に文句をつける子どものようなメンタリティなのだのだろうか。

とはいえ、知識の面ではむしろ文芸族のほうが子どもレベルなのはまちがいないんだけど。

それにしても、社会には、文芸族や政経族だけでなく、公園ママ族とか、アニオタ族とか、永田町族とか、経営者族とか無数にあるはずで、群れを移るたびにこういう違和感があるのかと思うと、ちょっとクラっとしてしまう。

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