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ぼくは言葉だけの人
現代は、言葉のうまい人が得をする時代だと思う。これが戦国時代なら、言葉がうまいより腕っぷしが強いほうが得だったのだろうが。
ボクサーも言葉がうまい方が得
さて、腕っぷしと言えばボクシングである。
今日「井上尚弥 v.s. フルトン」の世界タイトルマッチがあったんだけど、解説席には元世界チャンピオンが4人座っていた。
畑山さん、西岡さん、長谷川さん、村田さんで、4人が4人ともしゃべりがうまくて、1人でも十分に勤まるのにわざわざ4人並んでいた。ただし、具志堅さんの姿はなかった。
これがアマゾンプライムのボクシング中継ならば、解説は村田諒太さんで、具志堅さんは
リングサイドレポート
というパターンが多い。リングサイドレポートはときどき「すごいね~」などと言っていればよくて、あまりこみいったことを要求されないので、具志堅さんでも起用されるのだろう。
しかし、そもそもボクサーの本領は腕っぷしであり、言葉の強さは求められない。そして、具志堅用高と村田諒太のどちらが偉大なチャンピオンだったのかというと意見は分かれるはずだ。しかし引退したあとで求められるのは腕っぷしより言葉であり、その点は、村田諒太のほうが圧倒的に強い。
これは、どんな分野にもあてはまる。
なぜならSNSの時代だから
稲川淳二さんというと今はしゃべりのプロだが、元々は有名なデザイン学校を出ているデザイナーだ。そして入学試験はデッサンだったのだそうである。
つまり、芸能界に入るまで、しゃべりという強みを生かせない世界で生きていたわけだ。
とはいえ、デザイナーはデザインがうまければ勤まるし、ボクサーは腕っぷしが強ければ勤まるし、料理人は料理がうまければ勤まる・・かというとそれほど簡単でもない。
今はSNSがあるので、デザイナーだろうがボクサーだろうが料理人だろうが、言葉をあやつれなければ困ることが多々ある。どんな職業だろうと、理路整然と言葉を操れる人の方が、絶対的に有利な時代である。
言葉だけの人
なぜこんなことを考えたのかというと、ぼく自身はもともと
言葉だけの人
だからである。
村田諒太 = ボクシング + 言葉
稲川淳二 = デザイン + 言葉
だが、ぼくはずっと言葉を使うことを生業にしてきたので「○○+言葉」の○○がなくて、ひたすら言葉である。なので、言葉だけのオトコなのであって、けっして心がないわけではない。
今は、
なんか書けちゃいました~
みたいな風を装って日々書いているけど、なんだかんだでトレーニングを積んできたのだから実際は書けて当たり前だ。
ボクシングのトレーニングを積んできた人が、ストリートでケンカしてみたら「勝てちゃいました!」みたいな風を装っているのと変わらない。
知能偏重の時代
そんなこんなでSNSの時代には、言葉巧みな人がかなり得をしている。言葉のうまい人は「頭が良い」「知能が高い」とみなされるからだろう。
しかし、学校の成績だけですべてを測ることができないように、やたら頭の良さがもてはやされるウェブの世界もなんだかおかしいような気はする。
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