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NHKは学校教科書と似ている

NHKでは月~金の午後11時20分~30分に「持論公論」というニュース解説番組を放送している。毎回1テーマに絞って、わずか10分で概要を解説してくれる実にいい番組だ。

ぼくは今年の2月からはかかさず見ている。それまではジジくさい「時事放談」のようなものと勘違いして敬遠していたが、いまでは世間のことを広く知るためになくてはならないものになった。

といっても毎日見るわけではなくて、1週間分を撮りだめして週末にまとめてみることが多い。他のニュース番組でさかんに取り上げられるイスラエル問題やコロナ問題だけでなく、「入国管理法改正」、「世界自然遺産の課題」、「アスベスト被害の補償」など、ふだんあまり関心を持っていないけれども大事なテーマについてたった10分間で背景や課題、今後の展望などをバランスよく教えてもらえるコスパの高い番組だ。

しかもよく見ているとさまざまな突っ込みどころがあるので決して無味乾燥ではない。昨日は「ワクチン接種本格化 体制どう強化する」という内容だったがワイルドだった。

番組では、ワクチン接種の進み具合に地域差があるという点を指摘し、以下の図が表示された。青丸はぼくがつけたものだ。

スクリーンショット (2)

緑色の濃い地域ほど接種が進んでおり、接種が遅れている地域は赤いワクで囲まれている。感染者の少ない地域では接種が進み、広島県や北海道など緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出された地域で遅れている傾向がある。

それにしても、北海道の右横にある4つの島が気になるのである。あきらかに北方領土だ。これらは日本国が固有の領土として主張している島々なので、NHKが「日本の領土」として図に記すのは当然のことではある。

ただしデカすぎる。東京よりデカい。しかも「ワクチン接種率5%未満」としてがっちりと赤ワクで囲むのは少々やりすぎのような気もする。接種率が永遠に0%のままなのはだれでも知っているのである。

スクリーンショット (2) - コピー

北海道のワクチン接種が完了した後も、この4島は赤わくで残るのだろうか。それとも北海道の進捗に合わせてさりげなーく緑で塗られていくのだろうかなどと次回の登場が気になる。

さらに昨日は、放送事故のような場面もあった。解説委員がスタッフのインカム指示を聞き逃して「えっ、なんだって?」としばらく沈黙したのである。アナウンサーならありえないことだが、撮り直すのがめんどくさかったのだろうか。そのまま流れていた。深夜枠だけあって、政見放送に近いワイルドな展開がみられるので目が離せない。

ところで、テレビ離れが進む昨今、NHKというだけで軽視する人も多い。しかし、NHKはよくもわるくも日本社会の鏡であり、「国民にとって教科書」のようなものだとおもう。

だれにでも等しく配布される学校教科書は、見た目も地味だし、おもしろみにかけ、無難な記述に流れやすい。教科書をきちんと勉強するのは、教師の言いなりになっているようでかっこ悪いと感じる生徒もいるだろう。

しかし、じつは教科書との向き合い方にその生徒の知性が表れる。基本をおろそかにして気の利いた参考書に目移りするのは現実逃避だ。

NHKも学校教科書と似ている。地味だし、上から押しつけられる点も同じだが、じつはプロの英知が詰まっており、使い方しだいで実に使えるツールなのだ。などとえらそーに言っているが、ぼくも若いころはあまり見ていなかった。気づくのが遅かったが、むやみに反対するよりは上手に活用しようと思うようになってきた。

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