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何度でも観たくなる森田健作

千葉県の森田健作知事が、退任のあいさつをおこなった。

ぼくは千葉県民ではないので、森田県政のことはよく知らない。しかし、昨年、次期候補者選びで、例の森喜朗氏がでてきて、森田氏に「もう一期いけよ」と言ったのは知っている。

つまり、本人にその気があれば、あと一期やれたのはまちがいない。

県政刷新をうたい文句に登場した新知事が長期政権化し、自分が批判したのとおなじ状態におちいるのはよくあることだ。ぼくの故郷 愛媛県でもかつて「県腐10年(けんぷじゅうねん:県政は10年で腐敗する)」をうたい文句に当選した白石春樹知事が4期16年勤め上げたことがあった。

森田知事がもう一期やらなかったのは、それを避けたい美学だったのか、それとも71歳という年齢で、そろそろムリが効かなくなってきたのか、胸中はわからない。

だが、ぼくのとっての森田健作は「コテコテの青春スター」である。単なる青春スターでなく、あつくるしさの塊のような青春スターである。『おれは男だ!』(71年)という、今ふりかえれば恥ずかしくなるようなタイトルのドラマでスターになった。

ただし、そのころ3歳だったのでオンエアは見ていない。ぼくの知っている森田健作は、松本清張原作の東宝映画『砂の器』(74年)に出てくる若手刑事である。

『砂の器』は、ぼくが何度でも観たくなる映画の1本である。というわけで、今日も「何度でも観たくなる映画」という、昨日、一昨日とつながるテーマで書いています。

森田氏退陣のニュースに接し、ふとなつかしくなって、アマゾンプライムビデオで『砂の器』見直した(『砂の器』は今プライムで見れますがいつまで観れるかわかりません。会員の方はぜひ!)。

この作品は、日本映画の傑作として名高い。淀川長治著『映画ベスト1000』では、「春、夏、厳しい冬も出てくる。そのキャメラの美しさ。日本映画の傑作です」と評されている。

過去を隠し、世界的な作曲家へと上りつめた作曲家 和賀を演じた加藤剛さんの熱演。その和賀を執拗に追いつめる刑事 丹波哲郎さんの貫禄。

丹波さんの横で一言のセリフもなく、目線と表情だけで熱演を続けた悪役商会の丹古母鬼馬二さん。まだ若さののこる緒方拳さんなど、魅力を語ればきりのない作品だ。

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↑一行のセリフもなく熱演を続ける丹古母鬼馬二さん(丹波さん横)。

中でも、丹波さんにくらいつく若手刑事を演じた森田健作さんのフレッシュな魅力は忘れられない。目と眉毛に強さがあり、かれが映るだけで画面が明るくなる。「青春スター森田健作のきわみ」と言いたくなる雰囲気があった。

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その森田さんが、このたび30年にわたる政治活動を終え、タレントに復帰するそうだ。

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はるかな思いがする。

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