全部信じるわけでも全部拒否するわけでもなく
最近、陰謀論にかかわるビデオを2つ見た。
オリバー・ストーン監督の映画『JFK』(1991)と『 9/11: 爆破の証拠 - 専門家は語る』(2012)というドキュメンタリーだ。
最初にことわっておくが、ぼくはどちらの陰謀論にも詳しくない。どちらもうんざりするほどたくさんの書物が出回っており、生涯をかけて追及している専門家がいる。シロートがおいそれと語れるものではない。
しかし、この2作品を続けてみると、シロートながらにJFK -> 9.11-> トランプ旋風 -> アメリカの分断へとつづく流れのようなものが見えてきて興味深かった。
そこでいちおう、まずはぼく自身のスタンスを書いておこうと思うんだけど、かなり常識的な線だ。
まずJFK暗殺事件のCIA加担説はたぶんクロである。そして9.11のビル爆破説はたぶんシロだ。そこをとりちがえると、ウサギの穴をころがりおちるように陰謀論の世界にハマる。
JFKの暗殺がクロだから、9.11も同じくクロであり、したがって2020年の不正選挙説もクロであり、ワクチン陰謀論もクロであり、というふうにすべてをうらがえしに考えてしまうようになる。
ところで、映画『JFK』には功罪があるとおもう。この作品が公開されたのは同時多発テロの10年前であり、よくできた作品なので、それまで半信半疑だった多くの観客の心に陰謀論のタネを仕込んだことは大いに考えられる。
そのタネが10年後に発芽してしまったのではないか。ツインタワーの崩壊が不自然だったせいで、それまで国民が政府に対して漠然と抱いていた不満と不信感が一気に噴出してしまったのではないだろうか。
その流れの延長上に、貧富の拡大をうけたトランプ旋風があり、不正選挙説が生まれて、現在のアメリカ分断に至っているのだろう。
ところで9.11については、これまでは考えを保留していたんだけど、今回『9/11: 爆破の証拠 - 専門家は語る』というビデオを見てみて、作りがあまりに安っぽく、登場する専門家がインチキくさいので、あらためて自分で調べてみてシロだと思うようになった。
たとえば日本語のサイトなら、「9/11独立調査委員会 (911陰謀論)」というサイトがそうとう網羅的で詳しい。
ちなみにぼくはmRNAワクチンは打っていないが陰謀論には加担していない。人との接触の少ない生活と、未知数のリスクをはかりにかけて、なるべく打たないで済ませようと考えただけである。
また、2020年の不正選挙は多少あったかもしれないが、結果に影響を与えるほどではなかったとみている。
ロシアのウクライナ侵攻は、米ネオコンとオリガルヒによるゆさぶりにプーチンが耐えきれなくなった(+ウクライナを甘くみていた)のだろうと、今のところ考えている。
というわけで以上をまとめると、
JFK=クロ
9.11=シロ
ワクチン=シロ
不正選挙=?
ウクライナ=クロ
というスタンスである。
面白いのは、オリバーストーンの立ち位置とほぼ同じになっていることだ。ストーン監督は、JFK暗殺やスノーデン事件やウクライナ問題をしつこく追及しているわりには、WTOビルの倒壊についてはなんの疑いも表明していないどころか、『ワールド・トレード・センター』という愛と勇気と感動の物語を撮っている。
また、ワクチンは、アメリカ製が承認される前にロシア製を打っていたそうだ。これはまあ過剰なプーチンびいきによるものだろうけど。
世の中には、あらゆる陰謀論をつなげて受け入れているタイプの人がいる一方で、「陰謀論の類はいっさい受け付けません」とハナから相手にしないタイプの人もおり、だいたい2分されているわけだが、ストーンのように全部信じるわけでも全部拒否するわけでもなく、クロとシロがまだらもようになっているタイプの人もわずかながら存在する。こういう人はデータ重視で現場取材を続けている人に多いようだ。
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