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なにがストレス解消になるかわかったもんじゃない
よく「多角化経営」などと言われる。
1つの業種だけに依存してしていると、そこがダメになった場合にいきなり経営難に陥るので、いろんな儲け口を持っていたほうがいいということだ。
会社員の副業が注目されているのも同じだろう。本業ともう1つくらい収入の道があったほうがなにかと安全で、給料の一本足で家計を支えていると、解雇されたらすぐにアゴが干上がる。
重心を分散しておいたほうがリスクを避けられるというのは、ほかにもいろんなことにあてはまる。投資なんかも、分散しておいたほうが安心と言われる。暗号資産に有り金をぶっこんだら、値上がりすれば大儲けだけど暴落したら破産である。
ストレス解消法もおなじだろう。
お酒だけでストレスを解消していると、体を壊してを飲めなくなったら行き詰まるし、タバコの一本足では税金に苦しめられて逃げ場がない
ちなみにぼくは映画を見るのが長年のストレス解消法だったんだけど、昨晩、ちょっとおもしろい体験をした。
寝る前になんとなく「モヤモヤ」している場合は、アクション映画などを30分ほど見て気分をスッキリさせてから寝ることが多い。しかし昨日さてどうしようかなと思ったときに、
映画を見るよりドキュメンタリー番組を見たいな
と感じたのだ。そのほうが
スッキリする
と体が感じたわけである。これは自分としてはびっくりだ。
ここ数年、意識的にドキュメンタリー番組を見る量を増やしていたのは事実なんだけど、あくまで情報を仕入れるために義務的に見ていたわけで、こういう効果は予想していなかった。
昨晩も、アマゾンで『ブラックホーク・ダウン』を見ようか、それとも『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見ようか・・とおもった時に、それより録画したNHKスペシャルを見たほうがスッキリしそうな気がしてしまったのだ。
それで、『NHK特集 散華の世代からの問い~元学徒兵 吉田満の生と死~』(1980)というのを見て、ほんとうにスッキリしてしまった。
ただし、これは「スッキリする」などと言うとバチが当たるような作品だ。
当然ながら、重く残ったものはある。旧制の大学生は今の大学院生に当たり、学徒兵は今でいう大学院で西洋史や哲学をやっていた連中である。
引きこもってものを考えている連中であり、ぼくにとっては同類みたいなものだ。そういう連中が「国のために突撃すべし」というところに追い詰められたわけだからまったく他人事ではないし、その苦悩は想像するに余りある。
にもかかわらず、というか、だからこそカタルシスを得たというのか・・スッキリしちゃったんだから仕方がない。
「ブラックホークダウン」と「元学徒兵 吉田満の生と死~」のちがいは、ホラー映画と実話怪談のちがいに近いだろう。
くらべるのは不謹慎だけど、ホラー映画と実話怪談では恐怖の質がちがう。おなじく「ブラックホークダウン」と「戦艦大和」では衝撃の質がちがう。すぐれた映画には痛快さがあるが、本物の迫力はボディーブローだ。
そしてズッシリとくるものは、おうおうにして難しく、めんどくさげに語られてしまうものだが、そうやって敬遠されるよりは、考えさせられつつ同時にスッキリしたほうがいいではないか。
べつにドキュメンタリーが映画よりエラいと思わないけど、これまで『13日の金曜日』か『北野誠のおまえら行くな。』かの二択しかなかったところに、これからは「元学徒兵 吉田満の生と死~」のような選択肢が加わるわけで、いろいろあるほうが人生が広がる。
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