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酔った状態でやれることが本当の特技

ぼくが簿記を教わった先生は相当ののんべえだ。依存症ではないかとひそかに心配している。その彼があるとき、べろんべろんの状態で「日商簿記2級」の問題を計算してみたところ、1円もまちがえずにピタリと合ったといっていた。

何10年も簿記を教えつづけてきたら、泥酔したまま電卓をたたいても1円のミスも出ないのである。左脳で計算したとは思えないので、おそらく右脳に「簿記脳」とでもよべるようなものができあがっていると思われる。

ちなみに、ぼくも昨夜はべろんべろんだった。その状態で世界情勢の本を読もうとしたけどさっぱり頭に入らない。代わりに芥川賞作家 中村文則氏の『迷宮』を開いたら一気に集中して読みおわった。深く感動したし、今しらふの状態でも細部まで思い出せる。

つまり、ぼくは左脳で世界情勢の本を読もうとしたが、アルコールに阻まれて歯が立たなかった。しかし、右脳には「文学脳」ができあがっていたため、『迷宮』はたのしく読めたのではないかとおもう。

また別な日、酔ったままゲームをやろうとしたがダメだった。ということは僕の右脳にはまだ「ゲーム脳」ができあがっていないのである。子どものころからゲームをやり続けていたなら、酔っ払ってもプレイできたはずだ。

しかし、代わりに映画「12Monkeys(12モンキーズ)」を英語字幕で観た。あまりにおもしろくて、酎ハイをおかわりしながら最後まで観た(ちなみに、この作品には、ウイルス、陰謀論など、現在的なテーマがてんこ盛りなので、ちがう記事でじっくり取り上げてみたい)。

ゲームができない状態でも、12Monkeysのようなふくざつな作品を観て感動できたわけだから、どうやらぼくの右脳には「映画脳」と「英語脳」はあるていどできあがっていると思われる。

だれにでも、こういう○○脳があるはずである。こどものころにピアノを習った人はベロベロに酔っても指は動くはずだ。若いころから長年かけて右脳に植え付けてきた「○○脳」は、酒を呑んだくらいで機能が停止することはない。

逆にいえば、酒を呑んだからやれなくなるようなことは、まだまだ「年季が足らない」のである。ぼくのゲームもたいしたことはない。

ゲームはともかく、早いこと右脳に「国際情勢脳」根づかせたいものである。だが、若いころのように簡単にはいかないだろう。とはいえ、60歳をすぎてからチベット語を習いはじめてペラペラになった人がいると、かつて同僚だったチベット学者から聞いたことがある。がんばりしだいで、年をとってからでも「○○脳」を作ることはできる。

さて、ここからさらに話を深めて、20~30代までに身につく「ファースト○○脳」と30代以降に身につく「セカンド○○脳」について考察してみたいんだけど、長くなったので明日に回します。

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