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最後の夢

眠っていたにゃりぺよは、カーテンから差し込む光で目を覚ましました。
同時にドアを2回ノックする音が聞こえてきます。

「お母さんだよ」
母親が来ました。

「出て来れる?」
そう言われたにゃりぺよは、素直に布団から出てドアへ向かいました。

しかしドアを開けると…。
そこはまるで真っ黒の塗料を塗ったように暗かったのです。

にゃりぺよは手探りで廊下に出て、階段へ進みました。
光がないなか階段を降りるのは怖くて、腰が引けた状態で進みます。

もうそのころには母親の声も聞こえませんでした。
にゃりぺよは階段を降りましたが、そこにあるはずの玄関がありません。

暗いなか、家具も床も壁もない。
押し入れのような臭いがするその空間を、にゃりぺよは手探りで進みます。

振り返っても階段を見つけられません。
にゃりぺよは寝室に戻れなくなってしまいました。

「全部なくなっちゃった」
にゃりぺよは何かまずい雰囲気を感じて、そう呟きます。

そのとき、目の前に古びた大きな窓があることに気づきました。
カーテンを開けてみると、外はやはり明るくて…。

庭でバーベキューをしている義家族の姿がありました。
黙って立ち尽くしていると、義母が窓の鍵を開けるようジェスチャーで伝えてくれました。

苔やカビがびっしり生えた窓の鍵を開ける音。
半ば倒れ込むように窓から出ると、同時ににゃりぺよは目を覚ましました。

変な時間帯に眠ると、母親に連れて行かれる夢を見てしまいます。
あれからにゃりぺよは体調が悪くても布団で眠ることはなくなり、この夢も見なくなりました。

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