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ナツノカホリには美女が似合う

展覧会「ナツノカホリ」、無事終了しました。
晴れたり雨降ったり、変化の多い週末でしたが、沢山のお客様に来ていただけました。ありがとうございました。
ナツノカホリ、感じられるかなと心配していた鈍感な私ですが、4人の作家さんが出してきた新作はどれも力作で、それぞれが持つ独自の世界観を堪能しました。それにしてもやっぱり「夏は海」なのでしょうか。表現方法は全く違いますが、開けてみたらみんな海につながりがある作品でした。
恒例の作品所感を書きたいと思います。今回は作家さんと一緒に作品写真を撮ってみました。


タンタン(切り絵)@kirierium

月の光に照らされる濃紺の海。朧月に引き寄せられる無数の蝶。「この世は光が当たる部分が少ないけど、皆懸命に光を求める」そんな思いを込めたとタンタンさんは言います。岩絵具とアクリルによる独特の質感と切り絵の蝶々の立体感から、リアルだけどファンタジックな世界が広がっています。絵本の挿絵にもなりそうなドラマティックさです。(夜凪)

タンタン「夜凪」(部分)

こんな蓋のクッキー缶があったらいいなと思う「おみやげ」(もちろん中身は貝の形をしたクッキーがぎっしり)。いろんな貝を一つの構図にまとめ上げてしまうのは、アクセサリーデザインで鍛えられたセンスからでしょうか。家のコーナーにそっと飾っておきたいおしゃれな小作品でした。

タンタン「おみやげ」
7月は西武渋谷でのOMATSURI in Shibuyayaの主宰や麹町「Zen Cafe Marina」での個展など
夏もイベント目白押しのタンタンさんです

新城梨乃(アクリル)@artistrino

タンタンさんが濃紺なら、梨乃さんは「どピンク」の海。レジンで作られた白波がつやつやしていて美しいけど、あらゆるものは、愛と豊かさあふれるピンクの世界に容赦なく飲み込まれる。下のほうの金色は浜辺。人生はピンクの海と金色の浜辺の行ったり来たりなのかもしれません。しおれてしまったときにこのピンクの海に飛び込んだら、私もつやつやになってまたよみがえるかな、なんて思いたくなります(笑)。
それにしても、若干22歳にしてこのエネルギーの高さ。大好きなドラアグクイーンやペットのネズミちゃんなど、すでに独自の世界観を持ち、作品や自分自身を使ってためらいなく表現します。その強さが魅力です。今回は梨乃さんが大好きなドラアグクイーンのアロムさんをギャラリーに引き寄せてくれるという偉業も成し遂げました。初めて出会うドラアグクイーンにみんな上がりまくった展覧会のフィナーレでした。

新城梨乃「Life」(部分)
作品を前に動画を撮る無邪気な梨乃ちゃんとアロムさん。インスタも必見です。
東京ナイトライフの徹夜明けからギャラリー設営にきちんと来る、気力・体力もある梨乃ちゃん
最年少でみんなから可愛がられています。

ひら子(切り絵)@naka_hirako2

ひら子さんは、ポップで現代的な色合いと構図の中に、生き物の姿にどこかユーモラスなキャラクターを感じさせる作品を作ります。切り絵という境界線のはっきりした表現方法なのに、微妙な揺らぎがあって独特の生々しい生命力や個性が伝わってきます。今回の「栄螺」も、すべてを飲み込む洞窟のような大きな口や迷路みたいに複雑なごつごつした質感の迫力に見飽きることがありません。
ひら子さんご自身も、ぱっと見、物静かな女性に見えますが、お話しするとかなり独特だなと感じます。前から題材にしたかったという栄螺(さざえ)に関する彼女なりの考察や、サザエという学名が実はつい最近つけられたのだというトリビア的事実を語る口調は落ち着いているのですが、どこか熱を帯びています。栄螺にそこまで深い探求心を持つなんてなかなかないことですよね。そんな静かな情熱が込めらつつの現代的な作風が魅力です。次はオオサンショウウオにチャレンジするそうです。ゴツゴツからヌルヌルへ。彼女の探求は続きます。

ひら子「栄螺」
ひら子「栄螺」(部分)ド迫力です
アロムさんの美しさに思わず一緒に写真を撮るひら子さんも美しい

荻原久代(油彩) @ hisayo_ogiwara

軽やかな油彩・・・油彩と聞くとねっとり重たい印象だけど、荻原久代さんのは軽い。不思議な透明感があり、そんな作風が魅力です。
描いているのは、沖縄リゾートの海辺でのくつろいだ思い出。北海道の利尻生まれの久代さんにとっては対極の海を丁寧に描いています。印象派風のタッチからリラックスした空気が広がってきて、見ていて穏やかで幸せな気分になります。
砂浜のパステルイエローやブルー、所々にある赤い色が可愛らしい。色のセンスがいいです。確か、こんな優しい色のスカーフ持っていたなあ、どこ行っちゃったかしら・・私までそんな忘れ去っていた古い記憶がよみがえる、ノスタルジックな絵画です。
久代さんは制作過程をこまめにThreadにあげています。淡々としかし一歩も引かない強さを持って、自分の油絵の表現を切り開こうと日々向き合っているのがじんわりと伝わってきます。きっとご自身の中に波みたいなものがあって、その微妙なバランスの中から、風のような軽さが生まれるかなあと勝手に想像します。

荻原久代「風の記憶」
荻原久代「風の記憶」(部分)
笑顔が可愛い久代さん。穏やかですが、お話すると芯の強さも感じます。
世界絵画大賞で協賛社賞を受賞され、7月はその展覧会、10月にもグループ展を予定しています。

終わりに

こうしてみると、タンタンさんと新城梨乃さんは大胆な単色にメッセージを込めた力強さが共通しており、ひら子さんと荻原久代さんは、静かに自身の世界を探求した結果の美しいバランスを見せてくれている、そんな印象です。
そして、MIKAZUKI ARTの出展作家は、実は美女揃いなのも自慢です(笑)。ドラアグクイーンのアロムさんも駆けつけてくださる、注目のMIKAZUKI ARTの展覧会。次は10月に「秋」をテーマにした展覧会をを開催予定です。まだまだ時間はたっぷり。今回の作家4人もさらに美しさに磨きをかけ、最高の新作を見せてくれると思います。ぜひ、作品そして作家に逢いに来てください!詳細はまたご案内します。

作家との交流もMIKAZUKI ARTが大切にしていることの一つ

展覧会「ナツノカホリ」
会期 / 6月22日〜23日
会場 / Gallery Aoyama Iyasaka
出展作家 / ◆ひら子/切り絵 ◆ 荻原久代/油彩 ◆ タンタン/切り絵と箔◆ 新城梨乃/アクリル
企画・ディレクション / MIKAZUKI Art
広報 / yurinco
公式サイト/ https://www.mikazuki-art.jp


おしらせ:渋谷西武で
「SUMMER ART in OMATSURI SHIBUYA」スタート

MIKAZUKI ARTでは、7月2日(火)から8月12日(月・祝)までの6週にわたり、西武渋谷店A館2階にて「SUMMER ART in OMATSURI SHIBUYA」を開催します。総勢19名の作家が週替わりでアートや工芸品などの作品を展示します。ますます暑くなる日本の夏ですが、そんな夏を彩る涼やかな美しいものを生活空間やファッションに取り入れて、夏を楽しみませんか?

第1週目の7月2日~8日は「Zen Cafe Marina」が支援する実力派作家6人の作品が並びます。また、毎週行くと素敵なプレゼントがもらえるスタンプラリーも。遊びに来てください。
詳細・最新情報は随時MIKAZUKI ART のinstagramでご紹介していきます。


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