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コンバストとカジミ~太陽の多面性

伝統占星術にはコンバスト・カジミという概念があります。前者は太陽から8度以内(特に5度以内が顕著・諸説あり)に個人天体がある場合を指し、太陽の熱に焼かれて天体がその純粋な力を失うとされます。後者は太陽から0度17分以内(1度以内のごく近い位置)に天体があるケースで、これは太陽の中心部(心臓部分)にあたるため、太陽と一体化してその天体が活性化して大きな力を持つ、大変幸運な配置とされています。これは2023年時点でも十分に適応できるものだと、私は判断しています。




カジミの配置を持つ方はとても少ないのですが、作家の石牟礼道子さんが該当します。彼女は太陽と木星がカジミに当たります。(0度6分)出生時刻により多少の誤差が生じますが、恐らく間違いないだろうと思われます。魚座太陽と合体して特殊なパワーを得た魚座木星。2つの天体の相乗効果なのでしょう。彼女は水俣在住の一主婦でしたが、水俣病患者さんの苦しみや悲しみと一体化してしまい、数十年かけて「苦海浄土」を書き上げました。結果、日本を代表するような作家になられました。そして、ご本人は一切の受賞を辞退し、患者さんたちにすべてを還元する姿勢を貫きました。これが、木星カジミ(魚座)の影響だと考えると、非常に納得ができます。(正確には、木星がカジミに該当するのかどうか、定かではありませんが、個人的にはあり得ると考えています。)


石牟礼道子という菩薩~ふたつの異なる魂がひとつになる時|ユリシス|note
石牟礼道子という菩薩~ふたつの異なる魂がひとつになる時Ⅱ|ユリシス|note



一方、太陽に近づきすぎた天体はその強力な熱で焼かれてしまう、燃焼されて力を失うーーという理念に基づくものがコンバストです。コンバストされる天体は水星・金星・火星で、それ以降の天体は、太陽の近くにあってもコンバストされません。水星は太陽から28度以上離れませんので、最も多いのは水星コンバストです。水星は太陽(自己同一性・アイデンティティ)と、ある程度、独立した場所にあって、感情や思考に染まりすぎない方がいいのです。客観性が失われるからです。客観性を失った水星は、その純粋な働き(論理性・ニュートラルな思考力・広い視野)を大きく弱めてしまいます。



水星コンバストを持つ場合、多くのケースで視野の狭さが現れます。知らず知らずのうちに、独断的な思考や判断に染まってしまうのです。決して、知性に問題があるというわけではありません。むしろ、知性的な方が多いです。しかし、偏った考えや認識のクセがついてしまっており、あらゆる理解が矮小化・歪曲化されます。これは自分で認識することが非常に難しいものです。比較的、若い段階でこれを自認できれば幸いですが、いい年齢になってしまうと、もはや誰もそれを指摘してはくれません。ですから、常に「広い視点を持つ、独断で解釈しない」と意識化しておくことが重要になります。




また、金星コンバストの場合は、自らが幸せになることを禁じてしまう傾向があります。男性的な太陽に女性的な金星が焼かれるために、女性としての喜びを遠ざけてしまうケースが見受けられます。特に、女性で金星コンバストを持っている場合、意識的に、金星的喜びを得ることを許可することが大切です。あなたは愛されていい、人生を喜んでいい、幸せになっていいのです。火星コンバストについては、まだ明確な解釈に至っていないのですが、行動力や自己表現に影が差すか、猪突猛進で闇雲に突き進むような性質が現れるように思われます。




コンバストは月のアスペクトと非常に似た性質を持ちます。特定の考えや在り方に囚われるのです。コンバストされた天体の力を自己防衛反応として使ってしまうのです。水星コンバストであれば「知性・知的な自分像」に拘り、金星コンバストであれば「愛情・愛の形」に拘ります。それは月と同じように「無意識的働き」なので厄介です。自分自身に深く気づくことーー対応策はそれだけです。そして、コンバストを持つ人は、奥底にとても純粋な性質を持っています。とにかく素直になること、裸になって等身大の自分をさらけ出すことができれば、コンバストが生きてくるでしょう。あなたの本当の魅力はピュアでストレートな真っ直ぐさなのです。



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